高校の時意地悪してきた友達があんなことになった話2
続きです。
ところで、一体顧問は何をしていたんだ?
と思う人もいるでしょう。
顧問は、かなりイジれるけどイジられてることに本気でブチギレてもいる、けどそれが怖くなくて面白いからどんどん人気者になってしまう…、という悪循環に陥っている数学のおじさん先生でした。
私はその先生のことをノリで「あっ♬おじいちゃーん!」みたいな感じで廊下の遠くからでも呼んでいました。周りが「めろんと先生、おじいちゃんと孫みたいww」と言ってきたことがきっかけです。私はおじいちゃん子なのでかなりの親しみを込めて呼んでたんですが冷静に考えると現役の先生に対して爺さん呼ばわりはかなり失礼ですね
だから先生もムカついていたのでしょう。
私にそう呼ばれるたびに、先生は憎しみをこらえたようなワナワナした笑顔で「本当に、俺はお前を殺したい」て言ってましたね。
私はほんと先生が大好きでしたが、そんなわけで、人間関係のトラブルではまったく頼りにならない人でした。しかもバドのなんたるかも一切教えてくれないのです。というかあんまり居なかったですね。
だから私は大学に入ってから体育でバドをやって、「バドミントンにはグレーゾーンていう球を返しづらいゾーンがあって、そこを狙うんだよ。右利きなら右側だったり、頭の横、肩の上のこことか…」
「上がったシャトルは重力で落ちる前に叩きつけること」
みたいなことを教えてもらって目から鱗が落ちました。それからはバドがみるまに上達、指導者の大切さを知りました。
まあでも当時この先生には出会えなかったので、顧問の先生とは
慕う→←殺す の関係しか築けませんでした。
さて、そんなアツミの意地悪ですが、
なんと突然に緩むのです。
多分1年の12月頃、突然アツミが、逆に私への興味をなくしたかのように、普通になったのです。
シンヤくんがなんなのかとかは怖くてまだ聞けませんでしたが、冬休みには4人でケーキバイキングに行ったりして、かなり楽しく過ごせました。誰だか知らないけどシンヤも、まさかこんなところでこんなブログに登場してるとは夢にも思わないだろうな…。
しかし2年になってすぐに事件は起きました。
アツミが練習中に足を骨折したのです。
しばらく休んだあと、医師から、もうバドをしてはいけないと言われてしまいました。
それ以来ペアを失った私ですが、アツミの嫌がらせもとりあえずなくなったので、部活はできる範囲で続けました。アツミは球だしなどをしてくれましたが、ダブルスの試合には出られません。
その代わり、毎年体育祭までの3ヶ月間、リーダーのダンス練習に没頭できました。難しめのダンスでやりがいもあるし、可愛い衣装も着れるし、部活は半端になっちゃったけどリーダーがあってよかった…。
さて、嫌がらせが終わってもアツミと二人で遊んだりはなくて、結局親友にも心友にもなれませんでした。でもまあ普通に喋ってはくれるし、どこか心ここにあらずみたいな感じはするけど、またツッコミもしてくれる。サヤカとはめちゃくちゃ仲良くなったし、もういいやと思いながら高校卒業を迎えました。
アツミはがんばらずに東京の中堅私大へ。私はバカなので絶対無理、と言われていた県内の国立に入るため浪人しました。そして汚名返上、誰もが驚く合格を手にしたというのに、その一大報告さえアツミにはせず…。
1年後の春にはお互い知らない桜を眺める、遠くの他人となっていました。
時は流れて3年後。
アツミと同じく上京していたサヤカからこんな連絡が入りました。
「ねえ聞いて!この前久々にアツミから連絡あったの。ご飯行ったら知らない女の人呼ばれて、うちのセミナーはいんないかってメッチャ勧誘されたの!」
「マジか!ほんとにそんなことあるんだwwww」
田舎で退屈していた私は大喜び。今でこそよくある話のようですが。
しかしサヤカは本当にイヤな思いをしたようでした。
「断ったら、今は若くて可愛いからいいけど、サヤカちゃん年取ったらどうするの?空っぽだよ?誰もいなくなるよとか言われて、超イヤだった」
「えぇ、最悪だね」
「そう!しかも内容も、ちょっと本読めば書いてあるような浅いことばっかりなの。たしかにまったく本とか読まないで生きてきたら新鮮に感じるのかもしれないけど。で、責められてる間、アツミを助けてーって目で見るんだけど、知らん顔して携帯いじってんの。あんな人だと思わなかった」
「えー、だってアツミはそりゃ心、無いよ。バド部の時のあの嫌がらせ忘れたの?」
「え!?なにそれ?」
実はこの時初めて、サヤカがアツミの意地悪に気付いていなかったことがわかったのでした。
アツミが入っていたセミナーは、当時若い子を集めて「お金持ちと結婚する方法は…!」とか、そういうのを披露していたやつ、のようです。具体的にはこのテーマひとつしか知りませんが。
この話は高校の上京組の間でたちまちひろまりました。なぜなら上京組はセミナーに参加しやすいため、アツミに片っ端から勧誘されたからです。
ひとりが騙されて行ってから、みんなの反応見て、やばいと気づいて絶縁したとかなんとか…
また月日は流れ、社会人2年目。
「アツミが変なブログ書いてるww」
とサヤカから連絡が。
どれどれ、とアクセスしてみたら、なんと。
「愛され女子になる方法♥︎︎」
みたいなn番煎じのブログではありませんか。
しかも嘘のモテ話と、ありふれたスピリチュアル話と、なんだかお金を取ろうとするイベント情報が満載。
皆さんすでにアツミの性格はご存知でしょうから、このブログの主題からして同級生の私たちと一緒に「おいおい誰だよwww」と言いたくなるでしょうし、読めば読むほど「嘘つけww」といじり倒したくなることでしょう。
どうやらサヤカを勧誘したあとすぐに、アツミの入っていたセミナー団体は潰れたらしいんです。
しかし、それならなぜこの変なブログを書いているのか?
そう、アツミは正気を取り戻せなかったのです。
一度はまともな営業の仕事についたものの、つらくて辞め、あの時セミナーで知った異常なカネの動き方にすがる道を選んでしまいました。
彼女はセミナーの残党を
「言霊のチカラを教えてくれたスピリチュアルな女神、華凛さんがいなかったら今の私はない。。(T . T)」
などと崇めてしまっていたのです。
『「愛されたい女子のための恋愛結婚カウンセラー ATSUMIによる愛され講演会」
⭐️60分 2万5000円⭐️
皆さんとお会いできるのを楽しみにしています💕💕(*^▽^*)』
サヤカ「高ぇ〜ww」
とうとう中学メンバーのコントを高校メンバーがリアルコントによって超えてきた瞬間でした。
明るくて人気者だったアツミには、もうあの頃の友達はいません。
そうそう、結局なぜ私をいじめてきたのかといえば、おそらく双子の彼氏が私を含む何人かを褒めたかららしいです。
なんとなくどうしても私のことだけは褒めてほしくなかった、みたいな。わからなくもないですけど、それであれかぁ…。う〜ん…w
まとめますが、
この話から私が得たものは、
「人をいじめるような人間は、ちょっと足りない」ということです。
足りないのは知能というか心というか…そこはまだ言葉にできませんが。
それは、人によって、ある段階、ある社会では影響なくやっていけるのです。
しかしやがてその性質が身を滅ぼすのです。
今回のパターンでは、アツミは普通の人が基本的にわかるはずの「人をいじめるべきではない」ということができないのに社会にうまく紛れ込んでいました。でもそれは同時に、「普通の人がヤバイとわかること」も、わからないということだったのです。
時が満ち、それらすべてはアツミという一人の人間となりました。そして当時は気づかなかった全員がそのことを知るようになったのです。
だけどあの時、あの体育館で、バドミントン部を一緒に見学していたのは、
世界にたった二人、高校一年生の私とアツミでした。
知り合ってすぐに笑いあっていた2人の、これから私たちにどんな楽しいことが起こるんだろう?というワクワクしてたまらない気持ちだけは、いつまでもいつまでも、あのコートに残ってるような気がします。
…ところで、書きながらもう一つ思い出しました。
たぶん嫌がらせが本格化する前、アツミはいまいましげに私をあしらう場面で
「チッ…でもこいつ(私)、お母さんと同じ誕生日なんだよな…」
と、弁慶の泣き所みたいな感じで、私へのイライラを抑えていたことがありました。
いや、
ここでも誕生日のおかげでちょっと救われてたんかい!?!?!?(※家庭教師の話参照)
みんなして一体なんなんだよーーー!!!
ハァハァ…長くなってしまいましたね。
だけど気をつけてくださいね。アナタの過去にも、「第二・第三のアツミ」がいるかもしれませんよ。
ーおしまいー