かいたことおきば

メロンと一緒

美容院の話

こんばんは、めろんジュースです!

 

考えてみたら友達や同僚がネット上でめろんジュースって名乗ってたら嫌ですよね…。

 

さて、みなさんは美容院が好きですか?

 

私は前まで美容院が大嫌いでした。

今も別に好きでは無いですが前よりマシにはなりました。でもまぁ嫌ですよね。行くの面倒ですし2.3時間溶けちゃうし。

 

ここからは美容師の悪口を含みますが、

口では何を言っていても心の中では非常に尊敬しているということを忘れないでください。

 

美容師さんてのは、何か勘違いしてる人が多いんですよね。

 

人は別に、美容師とおしゃべりに行ってるわけじゃないんですよ。

いつも様々な人間関係や雑事に疲れながら、時間をとって散髪、染髪しようとしてるだけです。

 

だから髪をなにより最優先にしてくれたらそれでいいのです。とにかく髪をよくするぞという信念さえあれば、そのまま施術や接客の丁寧さとなるため、客が嫌な思いをすることは多くはないでしょう。

 

しかし、なんだか知らないけど気だるげに自分の話などをしてくる美容師さんは一体なんなんでしょうか?

 

昔いいともに出ましたとかいう話されても、知らんよ。こっちは。

 

いいともに出た時仕込みがあったって話をされたので、仕込みと言えばモニタリングですよねwwwって話を合わせたら、なぜかちょっとムッとして

「でも、やらせっていうか、テレビ業界もそういうのやってかないと面白く出来ないから」

とか言われましたけど、モニタリング関係者だったんでしょうか?

じゃなかったらモニタリングが仕込みって言われてムッとする奴いないだろ!いるとして、どういう信念があって怒ってんだアレに!?

 

まあでも自分もついつい盛り上げてしまうのが悪いんですけどね。気づけば大物俳優へのロングインタビューみたいになってしまうんです。

 

前、イタリアで修行してたって話されたことがありました。

「えっ!?珍しいですね、なんでイタリアなんですか!?」

「いやぁ、イタリアを選んだのは、まぁなんとなく好きで…行ってみたいなーって…。」

「イタリア語話せたんですか?」

「いや、その時は全く。冒険心ていうか、まぁ着の身着のまま?なんにも知らないのにいって、部屋も仕事も飛び込みで見つけたね。そっからは、ベッキオ橋毎日渡って、トマトめっちゃ買ってたし、仕事も軌道に乗ったよ」

「えぇーっ…どうやって!??すごっ…!」

 

こんな感じでさんざん『言葉わかんないし知り合いもいないのに異国で自活できてる俺って実は異端かもしれない』というラノベが書けそうなくらいアピールをしてきたのに、話掘り下げたら単に奥さんがイタリア人だったという意味不明な時間もありました。マジでなんだったの?あの時間。だったら、何にもすごくないんだよ。イタリア行くのにイタリア人を伴ってんだもん。そりゃ部屋も仕事も見つかるわ。いい加減にしろよほんとに。

 

あと最近多いのがインスタ関連の問題ですね。

インスタ見て適当に検索してまぁこれでいいかなぁって決めていくじゃないですか。

 

一時期、そんなに推しではないけどわりとよくインスタを見てたアイドルの投稿見て、この髪色ちょうどよさそうだなと思ってその子がいってた美容院に行ったんですよ。職場近かったので。

 

「えぇっ!?あの子のインスタ見てきてくれたんですか!?」

「はい。でもすみません、その、無課金勢というか、そもそも別に推してる訳じゃなくて…ファンってわけでは…。」

「えー、伝えたら喜ぶと思います。えー、絶対喜びます。あっ、けどあの子……最近髪暗くしましたよ?」

「あーそうなんですか。いや、よく知らないですけど。今のその子っていうのはまぁよくて、この時の写真の色に近づけたいんです。そんなに推しって訳じゃないんでよく知らないんですよこの子のこと」

「はい、はい、そうなんですね。てか、あの子も色々大変らしいですよぉ。ほら……前に彼氏との流出があったじゃないですか」

 

知らんてーーーー!!!!!

 

しつこーーー!!!

 

照れて隠しでファンじゃないっていってると思ってるのか知らんけど、何回言ってもその子の話してくるんですけど!?

照れるか!ファンなら食いつくよ!

 

その後も何回言っても日本語が通じなさすぎたので、無理やり漫画村の話をして乗り切りました。

 

で結局、仕上がりはただの黒髪でした。

 

は……?と思いましたね。

やり直しに行ったけど、まぁなんかポヤンポヤンした感じで…。まだ少しあの子の話をしてきたので、阻止するために突然新進気鋭のアニメ映画監督話をしましたけど、こういうの疲れるんですよね…。

 

そんな感じでまた別の美容院に行きました。

 

そこは声かけてくれて練習台になったことがある美容室なので、何回か行ったことがありました。私はその人を見ると毎回カリブの海賊にいる髭の人を思い出します。

 

前回ただの黒髪になったことを訴えたら、「その人色盲なんじゃない?」という衝撃発言が飛び出しました。

でもまぁ、そこまでいうならあの微妙なニュアンスが出せるんじゃないかと期待するじゃないですか。

その時も真っ黒になりました。

しかも「うん、ちょうどいいじゃん」などと、強引に押し切られて終わりました。

 

その人恋バナが大好きで、同棲中の彼女と倦怠期って話されました。状況が3年前と全く変わってないので、どんだけその状態保ってんだよと逆に驚きますが、こんな他愛もない世間話もヘアカラーが失敗した瞬間に

知るかーーー!!!無駄話すんなー!!!!!!!!!女性に失礼だからさっさと結婚するか別れるかせんか、バカモンが!!!!!!!!!と雷を落とすしかないのです。

 

まあそんな感じで怒りが頂点に達しかけていた時、よーくレビューを見ないからいけないんだ、と自身の態度を思い改め、めちゃめちゃレビューを見ることにしました。

「ヘアカラーで落ち武者みたいにされました」という悲しみの投稿を発見しましたが、ヘアカットではなくヘアカラーでどうやって落武者になるのでしょう。逆にすごい技術なのではないでしょうか。

まあでもとにかくレビューがかなり高い近所の美容室に行ってみたんですね。

 

そしたら、すごく優しいちゃんとした社会人という感じの落ち着いた女の人で、東京にきて初めて髪の毛が普通に染まったんですよ…。

すべてにおいてレビュー4.98という高さ、納得でした。

 

しかし、ここからが私の悪いところです。ここまで明るくなれば他の色も入るはずだ!と勢いづいてしまい、少し伸びてきたときに懲りずに表参道へ行ってしまいました。

 

official髭男dismのボーカルに髪型、フォルム、雰囲気がそっくりな人が出てきました。

「(ヒゲダンさんの)インスタ見てきました。こんな感じにしたいです」

しかしなぜか、自身のインスタには極力触れたくないような感じでそーっと見て、

 

「あー、これ、ほんとは、暗いんですよね…6トーンくらいなんです…」

 

写真はどう譲歩しても8-9トーンあるのに?

5とか6って地毛レベルだよ?

 

たしかに、たしかにですよ。美容師のインスタは加工された写真で溢れかえっています。でも、それが全く実際の技術と異なるのであれば、それはもうインスタの視覚情報が無意味ということになりませんか?言ったら広告詐欺ということになってしまうじゃないですか。

 

まあでももう座っちゃったし、絶望しつつも、じゃあ明るくなっても良いので暗くしないで、赤みを消してこれみたいな青っぽい色合いにしてください。

と伝えました。んー、ていうよりは、ベージュ系にするかも。となぜかオーダーを無視する髭男dism。

 

まあそれでもいいですと伝え、そのあとは「彼女との別れは満場一致でした」とかまじめに言ってくるので面白くて、別にそんなに嫌な思いもしませんでした。

問題は仕上がりです。

 

いや…黒髪じゃん。

 

もうその、ブリーチなし透明感カラー!僕にしかできない色味!とか全部禁止にしてくれないかな。ブリーチしてなかったらほんとは無理なんでしょ?無理なら嘘つかない方がいいと思う。

ただ暗くならなければいいという条件を提示したにもかかわらず、なぜただの黒髪なのか

全然意味が分かりませんでした。

 

最初はヤバいと思ったようで、うん!明るすぎず暗過ぎずいい色!とか誤魔化そうとしてましたけど、徐々に黒くなってしまったことを認めて謝罪し始めました。これまでの美容師さんは、何食わぬ顔でいいじゃんいいじゃん〜透明感!とか言ってごまかすような、どろぼうのはじまりみたいな人しかいなかったのでなんて素直なんだろうと驚きました。

 

で後日直しに行くことにしました。

 

先日うまくいかなかったのごめんなさい、今度こそはしっかりと染めますと意気込んでくれました。

 

「お客さん最近、この1年くらいではじめたこととか、ハマってることとかありますか?」

 

「えーなんだろ?特にないかな…?何かあります?」

 

「実は僕、ママ活始めようと思うんですよ」

 

えーっ!!!

 

予想外すぎるwママ活始めるの?えぇ?wwwなんでwwwもっとなんか趣味とかじゃないんだwww

 

ほぼ↑みたいなことをそのまま言ったけど、まあその反応は慣れてるって感じで

「なんかー別にお金欲しいとかじゃないんですけどー僕ってお金持ちでデキる女の人って苦手なんですよ。フン!みたいな」

「へー、苦手なんですね」

「はい。でもそういう人ってー、あんまり知り合う機会ないじゃないですか。ママ活する中でー、見えてくるのかなーって」

 

???

嫌いなんじゃないんかい?だからこそわかりあいたいみたいなことかな?別に普段交わることの無い、苦手なタイプの人と分かり合わなくてもいいと思うけどね…。

 

「…まあでも美容師さんだったら、いずれ独立考えてる時に人脈とかあったら良さそうですしね。ママ活で仲良くなって…とか」

「そう!そうなんです!自分は大人の関係とかはちょっとなしなんですけど、まあご飯とか食べるだけにしてー、お金が欲しいってわけではないんでーー、経験として??色んな人の話きけたら面白いってのもありますしー、別に今もお金もらってるしそんな今よりお金がいっぱいほしいぞってわけじゃないんですけどー、今しか出来ないこと?って考えた時にーー 、あ、じゃあママ活なのかなーー、ちょうどいいじゃんって思ったりとかして〜」

 

逆に髪に集中しているから、こういう繰り返しになっているのかもしれません。

 

ヘアカラー塗り終わり、じゃ少し置きます!そんなに置かないですからね!と言って去っていきました。

今度こそ明るくなったらいいなぁと思いながらまっていると、10分もしないうちに戻ってきました。

 

「よし!!!あと2分くらいかな?そんなに置かないんで。ちょっと数十秒が勝負なんで、ここで見てます」

「あ、どうもありがとうございます」

 

あと2分くらいということで自然に雑談が再開されました。

「やっぱり毎日ここの美容院に出勤するのって疲れるんですよね…。でもここにこないとお金貰えないじゃないですか?だから休みの日に働いてないのにお金もらえるってなにかって考えたときに、それはママ活かなって」

 

…まあ、そうなんだけどね!言ってることは間違ってないよ!でもなんかさっきと言ってること違くない??さっきはあくまで知見を広めたいみたいなこと言ってなかった??あとここに来ないとお金貰えないのは当たり前なんだけどね!

 

「うんうん、なんかママ活してる層にウケよさそうですよ!今どきの若者らしい人と遊びたい人が多いでしょうし」

「そうですかね??てか僕芸能人で誰に似てます?」

「あ!!!えっと顔がそっくりってわけじゃないですけど、あれ!あの人!ヒゲダンのボーカル!絶対言われますよね!?」

「え!??ヒゲダンのボーカル…!?いや、全然!!!初めて言われました!」

「え!?雰囲気もいわれたことないですか!?」

「ないですないです。えー、ヒゲダン…?かぁ…初めて言われました」

 

そんなにピンと来ないか!??

髪型がまずそっくりだし、輪郭とか顔つきとか服装とか、明らかに雰囲気の系統は同じではあるのに、そんな認めがたい!?

まねだ聖子が、聖子ちゃんに似てるなんて初めて言われました!って騒いでるようなもんだと思う…そんなに寄せてるのに!?みたいな…

 

「僕、自分で言うのもアレなんですけど、えー…アシスタント時代はよく、そのー…Hey! Say! JUMPの有岡大貴くんに似てるってお客さんからめっちゃ言われてました」

 

あーーー!!!ジャニーズね!ジャニーズに似てるって言われてたのなら、不服だよね!ごめんそれはごめん…。

いつまでアシスタントだったのかとか全然知らんけどね…まぁたしかに似てるっちゃ似てるかも…?でも有岡くん自体目元濃くないから、マスクしてても有岡大貴くんに似てるねって言われるのはざわちんでもない限りなかなか無謀な挑戦だよね…

 

少々疲れながら思う。(いや、もう15分は経ってるよ)と。一分一秒を争うんじゃなかったのか?

大丈夫か…?

 

結局、あと2分が勝負という感じで勇んでやってきた美容師さんが誰に似ているかという話を中心に、20分ほどただ過ごし、シャンプー台へと移動しました。

 

鏡の前に戻ってタオルを取るとーーー

 

そこには、これから気持ち切り替えて就活頑張るぞというただの黒髪の人がいました。

 

おーーーーーい!!!!!!

 

いい加減にしろーーー!!!!!何がママ活だー!!!!!!

 

まあでも、憤りを通り越して

あ〜…しょうがないですね…wという感じでした。

 

この美容師さん今までの適当な人と違って全然悪い人ではないので、えー!なんで染まらなかったんだろ!悔しい!時間経ってくれたのにほんとごめんなさい…と悔しがってくれたので、なんだか許せる気持ちになりました。末っ子のような要領の良さがありますね。

実際美容院で毎回許せるor許せないの2択になるというのも変な話なんですけどね。

 

でもまあ、演技にせよ本心にせよ、失敗した時にちゃんと謝ってくれて、悔しい!って言ってくれる素直さは、かなりママ活には向いてると思いましたね。

 

長くなりましたが、すべての美容師さんを心から尊敬してます、ほんとです。

 

ではまた!

 

 

怪しいホームステイの話

こんちは。めろんです!

やっほー!久しぶり。生きてる?笑 てか桃鉄って全然楽しくないよね…。楽しい瞬間はそりゃいっぱいあるよ。でも勝っても全然社長じゃないじゃん。それでいて殺し合いにもなるわけで…。

 

さて、なんか最近ブログ書いてないなあ、なんかあったかな最近?と思ったんだけど先輩(←客観的にみたらただのすごい良い人)が

ああでこうでワーワーワー…

…って騒ぐくらいしかないので、ちょっと思い出をまた振り返ってみました。

 

あれは大学一年生のとき。

 

センター英語の点数が良かったので、特別英語できるマンでもなんでもないんだけど一番上のクラスに振り分けられてしまいました。

まあこれ1年生共通英語あるあるなので、よく聞く話なんですけど。

 

充分な基礎力はついてるとみなされるので授業も淡々としていました。どんどんTOEICの過去問をやって、特に解説もなく、学生たちが涼しい顔で正解を答える繰り返し…というような。

 

そのクラスの先生が、今考えるとヤバい人だったんですね。

 

先生は室井佑月デヴィ夫人を混ぜたような感じでした。年齢は多分50歳位だったのかな。

名前は仮に室井先生とします。

 

室井先生は、普通にしゃべってる間は優雅で気分が良さそうなのですが、ちょっと想定外のことがあったり流れを止められたりすると、目を見開いてキンキン声で「なぁにそれ?」「信じらんない!」みたいな感じのオーバーリアクションをするような感じの方でした。まあありていに言えば関わらないほうが無難だろうなーという感じの女性でした。

 

と、いうようなことを18.9歳の時点で、自分以外の全員はわかっていたのです。なんとなく友達たちもそんな感じでした。

 

しかし私は当時は、前も書きましたが人を拒否しない人間だったので、特に警戒心や苦手意識などは抱いてませんでした。

 

室井先生は、むっちゃんという優等生がお気に入りでした。私もむっちゃんのことが大好きでした。今も。

 

むっちゃんは超いい子で、私の言うことにすごく笑ってくれて、清潔感もあり、上品で、全くチャラチャラしておらず、成績も良く、濃いブルーグリーンのカーディガンをよく着ていました。

室井先生は「素敵な色のカーディガン」とみんなの前で褒めたりしていました。

 

まぁ、みんなそんなに気にしてなかったけど、

今思えばむっちゃんは恥ずかしかったでしょう。

 

むっちゃんとは一緒のグループではなかったので、そんなによく彼女のことを知ってるわけではありませんでした。

 

私と室井先生の関係は普通でした。

 

クラスの男子が「質問ありますか?なんでもいいわよ」と言われて

「この〇〇コンサートホールってほんとにあるんですか!?」

とかしょうもないことを聞いて室井先生のヒステリーを引き起こしてしまい、それ以降あからさまに冷たくされたりもしていました。

 

そこから英語の授業は緊迫していました。

私も(みんなの前で怒られたくない!)と恐怖していました。

あてられた問題がわからず「a!いや違うか…b!?……c!」みたいな感じで先生の顔色を伺いながら必死に正解しようとしていたら、意外にも「オッホッホw」みたいに笑ってくれたことがありました。ほんとそれくらいでした。

 

3ヶ月近く経った7月のある日。

 

授業の後「あ、あなたちょっと残って」と先生から呼ばれました。

 

なんだろう?と思っていたら、

 

「あのね。あなた夏休みに私と一緒にウィーンとオーストリアに行かない?ホームステイに。これ、毎年やってるの。もう1人ね、農学部の女の子にも声をかけてるのよ」

 

えーーっ!!!突然!

突然の海外!!!!

 

この時点で先生と2人きりで話すのは初めてでした。

 

「私の知り合いの家に泊まるから、相場よりずーっと安く行けるわよ。なかなかない機会よ。どうかしら?とりあえずパソコンのメールアドレスを交換しましょう。携帯は持たないから」

 

まだ迷っていましたが、こんな感じで、とりあえずメールの交換が始まりました。

 

室井先生は歌うように優雅ですがどこか強引でした。

たとえば「行くか行かないかは〇〇日までに教えてください。泊まるのはこんなところで、手段と金額はこれくらい。他、質問があれば受け付けます」

みたいな感じだったら検討しやすいじゃないですか。

でもなんか全然そんな感じじゃないんですね。

なんかフワッとしたまま

「こんな幸運、逃すわけないわよね?行くわよね?」

みたいな。

「いろんなことは追って説明しますが、今まで行った人たちは、みんないい経験になってます。」 みたいな感じで、なんかどうも強引なんですね。

 

「なんだそれは!強引だ!詳細を説明しろ!」と、野党になっても全然よかったのに、履修中という立場もあるし、そんなに幸運なのか…と思い、とりあえず、じゃあ今のところ行きます、みたいな感じで返事しました。

 

打ち合わせのため、大学から2駅程度離れたところにある、先生の一軒家にお邪魔しました。

 

そこで初めて農学部の女の子に出会いました。ボーイッシュで小ざっぱりとした子で、喋り方は銀魂が好きそうな感じで、普段の友達とタイプは違うけど面白くて仲良くできそうな感じで、嬉しくなりました。なんとなく盛り上がっていると

「貴方達、きっと一生の友達になるわね」

と先生の声が飛んできて、お互い顔を見合わせてちょっと照れながら「へへ…☆」みたいな感じになりました。結論から言うとならないんですけどね。

 

さて、渡航について両親は「いいじゃない!」と割と乗り気でしたが、お金いくらくらいかかるの?と当然の質問をされていました。

 

しかしいくら聞いてもはっきりと

「だいたい〇〇円」とは言ってくれないんですよ。

それでも、行くということだけは固められていくような感じでした。口から出るのはとにかくウィーン少年合唱団はめっちゃすごいという話ばかりなのです。

 

困っていたら先生が「お金は私が一部を肩代わりして、のちのち返してもらう、とすることもできます」

と言ってくれました。

 

それならどうにかなるのかなぁ〜と思い、話は進んでいきました。私も大概のんきすぎるんですが。

 

先生の家で食事をして、お皿洗いをする段になると、先生は

「これ、ドイツ製の食器洗い洗剤なの。一滴、水の上に垂らして、少し放置して、適当にさっと流すだけでいいのよ。日本のはそんなことできないでしょ?日本の洗剤は危険なのよ。知ってる?貴方達の使ってる日本の洗剤って、とんでもない劇薬なのよ。口に入るものはこだわりたいから」

 

みたいなことを教えてくれました。

しかしうちのお母さんは他で見たことのないマジエコロジー人間なので、ジョイとかキュキュット等の洗剤は買ったことがありませんでした。ずっと地球に優しい台所石鹸を使っていたのです。

私は全然泡立たない石鹸に、長年(何これ?)と思っていたので、黙っていられずに

「あっ、なのでうちは台所石鹸を使ってますよ!ドイツまで行かなくてもそのへんの薬局にあるのでぜひぜひ」

などと悪気なく言って先生をすっかり興醒めさせてしまいました。

先生的には

「えーっ知らなかった!こわーい!それほしいですー!」

と言われたかっただろうに、まさかジョイやキュキュットを一回も買ったことのない家の奴にたまたま遭遇するとは。しかもなんか空気読まない奴で面目丸潰れだし。

 

さて、打ち合わせといっても一回目は顔合わせと、先生の昔のアルバムを見せてもらったくらいでした。

 

二回目にして、ある重大な事実が発覚するのです。

 

「貴方達が泊まるのは、私の知り合いの19歳のオーストリア人の男の子の家なの」

 

え!?男の子?あ、そうなんだ…

 

「あ、そうなんですか」

 

「両親のいない間にこっそり泊まるから、食事は出ないわ。洗濯もコインランドリー。自分たちで毎日ウインナーを買ってきて、焼いて食べることが多くなるでしょうね」

 

え!???

 

「貴方達、泊めてもらったお礼に、次は貴方達の実家に彼をホームステイさせるのよ!」

 

「え、えーーーーーっ!?????」

 

もうここは声出てましたね。

 

そしてさらに、先生はとうとうここで、金額を明かしました。

 

渡航費と滞在費は、3週間滞在で100万円プラス20万円くらいはかかります。」

 

えーーー!!!

 

3週間で120万円!?

 

破格…では…ないのでは!?????

 

金額の相場はよくわからなかったけど、

とりあえず思ってたより高いなぁ…と思ったり、しかも、ご飯や洗濯等なしでそれは割に合わない気がしたし、何より「両親がいない数週間の間にこっそり泊まる」

これがちょっとさすがに無理でした。

 

帰り道、私は(どうしよう……)と、トボトボ歩きながら悩んでいました。

 

それで、共通英語の友達には何も言ってませんでしたがとうとう相談することにしました。

 

友達は一部始終を聞くと、

「いや、ありえないだろ!」と憤慨してくれました。

そんな怒ってくれるとは思ってなかったのでなんか嬉しかったですね。

「まず金額が高すぎるよそれ!絶対ホームステイってもっと安くいけるって。しかも条件変なのに後出しするのも、最初に言ったら断られるってわかってるからだよね?交換ホームステイなら一番先にそれ言わなきゃダメだし、こっそり泊まるって絶対おかしいでしょ!」

 

こんな感じで色々言ってくれて、やっと(やっぱりそうなんだ…そうだよね)と疑念は確信に変わりました。さらに

「てか、あの先生見るからにやばいじゃん!?

むっちゃんだっけ、あの子も最初誘われて断ったらしいよ」

 

むっちゃん先に断ってたwwwww

 

まあ、そうはいっても、当時の私はまだまだ社会のことを何も知りませんでした。

今思えば、「交換ホームステイのことは聞いておりません。そういった重要な条件は最初に提示するべきではないでしょうか?また、こっそり泊まるというのはどういうことでしょうか?他人の家に不在時に黙って滞在することはできかねます」

みたいな感じで言えばまったき正当な主張だったのですが、それがまだわからなかったんです。履修中ってことも多少はあったのかな。で、困っちゃって、普通に断るのは無理そうな雰囲気だったので一生懸命に考えて

 

「ごめんなさい…お金がちょっと…」

 

という風に伝えました。

 

すると先生から「信じられない」というようなタイトルのメールがYahoo!メールに続々と届きました。

何通も。

その時の恐怖は忘れられません。

 

その時使っていた「milky_way」みたいな非常にアホっぽいアドレスも呪われた気がして、使うのをやめました。ミルキーウェイと聞くと今でも先生の怒涛のメールを思い出すのは地球上で自分だけでしょう。

 

「本当にごめんなさい…家の事情がちょっと…」

 

こういう感じで必死に謝っていると、

「そうだったのね。かわいそう」

と、急に同情してくれて、驚きつつも

少し悪いことをしたような気持ちにもなり…

 

農学部の子も「えぇー、先生と2人旅かぁ、残念だなぁ、残念すぎるなぁ」と言ってくれたのも忘れられません。

 

今の自分ならはっきりそれはおかしくないですか?と、

怒るとかじゃなくて質問ができるだろうし、

その子にも「やめといたほうがいいよ、本当にいいの?」と言えるでしょう。

 

でも当時の自分は本当に間抜けな子供だったので…あの子を助けることまでできませんでした。

 

あの子も「え!?マジかイイィィ!?」とか

言ってたんですけど(※本当です)、

結果、親御さんが承諾していたようなので中止にはなりませんでした。

 

私の父は「外国の人がホームステイするならばあちゃんちだなあ、うちはふつうの住宅だし別に日本っぽくないし、ばあちゃんちなら広いし、自然もあるし…」

と言ってたんですけど、ばあちゃんたちに、会ったこともない外国の男の子を世話させる約束というのもできないし。

 

そんな感じで私のウィーン行きは中止になりました。

さて、それらの話が片付くまで大体1ヶ月。

 

先生の中止話も無事に終わり、多少気まずいまま8月頭に共通英語のテストがありました。

 

60点以上が可、70点以上が良、80点以上が優、90点以上が秀。

別に英語得意マンでもないけど普通くらいにはできるし、他のもちゃんとやってるし、理系みたいに厳しい授業もないから優か秀しかないけどね。

 

さて、共通英語の成績は。

 

 

共通英語 59点 不可

 

 

おーーーい!!!!!!

 

 

 

私怨だろこれー!!!!!!

 

 

 

ーおしまいー

 

クリスマスに思いがけないものをもらった話

メリークリスマス!めろんです。

クリスマスは終わったよって?いえいえ、別にいつやってもいいですからね、お祝いなんてのは気持ちが一番大事ですから。

 

さて、あなたは何歳までサンタを信じていましたか?

 

小2の頃、

「サンタは親なんだよ。プレゼントのレシートを見た」

とかなり直接的な証拠を示して主張する友人が現れました。

 

この話は友人達の間では結構衝撃的で、にわかに「サンタ=親説」が駆け巡りました。

 

私は「サンタがいないというのは表向きの事情で、実はサンタもサンタで一部の家庭には暗躍しているけれども、全家庭には来ないし、大人ははなから信じていないから自分たちで用意しているんだ」と、希望を持っていました。

メルヘンな理由というより、希望の品が手に入る可能性は多い方がいいと思ったからです。

 

「〇〇ちゃんは、親が入ってこれないところ(?)の手紙がなくなっていたらしい」

というような話をしてくれる子もいて,

「いる派」の間では、

やはりサンタはいるのだ……というどこか深刻な雰囲気にもなっていました。

 

うちのサンタは、5歳の頃

「集めてるえほんシリーズの『マッチ売りの少女』まだ持ってないからほしい」

と言ったら「本当にそれでいいの!?それだけで?」

と何度も確認された後、クリスマスツリーの柄のハンカチとぶどうのヘアゴムも一緒にくれたことがありました。

 

うわー!すごい!本しか望まなかったらこんなにくれるんだあ…

 

そんな、妙な教訓(?)を得ながらも、

私はすくすくと強欲キッズに育っていきました。

 

もしも今よりももっとカネを手にしたら、経済を回すという意味では偉いけれども、どう考えてもありすぎだろという数の自転車やスニーカーやジーパンを集めまくる芸人みたいになってしまうのでは…とちょっと恐ろしい気がします。

 

さて、小4のクリスマス、私は「子供用パソコンがほしい!」と、ひとまず親にお願いしました。

くれないのならサンタに頼み、親には別のものをもらうという寸法です。

出どころは別なんだから複数あっていいだろうと。 

普通は「サンタ=親なのか?」と疑う思考になるはずなのですが、

私の場合「親だけでなくサンタもまたプレゼントをくれる」ーーnot only A, but  also B構文の思考になっていました。

 

私が欲しかったそれは3万円相当、トイザらスの棚の中でもまわりとは一線を画す重鎮感とともに、やや高いところにずっしりと佇んでいました。

 

親は「そんな高いのダメに決まってるでしょ!」と怒り心頭でしたが、

 

私は「じゃあいい!サンタに頼むから!お母さん達はばあちゃんちの近くのイオンで去年の秋に見た101ぴきわんちゃんの病院セットちょうだい!」

と具体的かつ強気な姿勢でした。

 

「ねえ、クリスマスなにもらう?親とサンタから。私はねえ、親から101ぴきわんちゃんのぬいぐるみを手当てできるおもちゃで、サンタさんからは子供用パソコン」

 

ある帰り道、田んぼの中を歩きながら、私はちょっと意地悪な下校班の二人に問いかけました。

 

「何言ってんの?サンタなんていないんだよ!」

2人は待ってましたとばかりに騒ぎ出しました。

 

サンタクロースを声高に否定することこそ、

カッコいい。

お兄ちゃんお姉ちゃんなどがいる子を中心にそんなふうに感じはじめる年代だったのです。

 

私はほしいものの話がしたかっただけなのに、結局「サンタはいるかいないか」の不毛な論争に陥ってしまうとは…。

 

「なんでいないって言い切れるの?サンタがいない証拠はあるの?」

そう反論しましたが、2人は

「そんな超越的な存在がいるわけないじゃん」

というような常識論で責めてきました。

「10歳にもなって本気で言ってる?」

と精神的に追い込まれもしました。

子供の世界って結構辛辣なんですよね。

 

言い負かされた形になりつつ、それでもいい、言いたい奴には言わせとけばいい、とにかく私はサンタからもプレゼントもらう。もらうんだ。そう信じ、サンタ宛に熱のこもった手紙を書きました。

 

その日はサンタが入って来やすいよう、普段は寝ない1階の和室にわざわざ布団を敷いて、窓の鍵だけ外して、布団に入りました。

 

明日には101ぴきわんちゃんの手当てセットみたいなやつと、子供用パソコンが、一挙に手に入るんだ…

 

※イメージ

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※絶対これじゃないけどイメージ

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なんか顔違うなこれ

 

はー、クリスマスってなんて素晴らしいんだろう。

もしあれが手に入ったらサンタいる派の〇〇ちゃんと遊ぼう。あの2人には絶対貸さないもんねー。べー

 

いかにも悪ガキなことを考えながら、

私はスヤスヤと神聖な一夜を過ごし…

 

夜が明けました。

 

気になりすぎて朝、5時、まだ真っ暗なうちに起きてしまったのです。

 

枕元を漁ると謎の箱を確認ーーー

 

えっ、小さい?なにかな?またオマケかな?

そうだ、そうに違いない

ちょっと絶望の影を感じた私は一度寝直すことにしました。まだ早かったかも。うん、そうだ。今見ちゃダメかも。

 

………

 

チュンチュン

 

12月25日、クリスマスの朝。

 

今度こそと目を覚ますとそこには

 

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えっ!?!?!?!?!?

 

 

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何これ!!!!!!!!!!!!!!???

 

 

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何これーーーーーーー!?!?!?!?!?

 

 

「ママ!!!サンタが…サンタが!」

 

「おはよう!どうしたの!?」

 

「パソコンじゃなくて…!サンタがなぜか…

これ…」 

 

「えっ、サンタさんに何かもらったの!?よかったねー」

 

「いやっ、じゃなくてっ、これっ…!」

 

これが欲しいって一言も書いてなければ

手品師に憧れてるって一言も言ったことないし,あとこれ、ラッピングもされてないんですけど!?

頼んでないマジックセットを裸で置いてく…そんなサンタっているの!?

ハッ!

「お母さん!!!クリスマスプレゼントは?101ぴきわんちゃんのは!?」

「あ、無いよ」

「無いの!?!!?!??」

なんと、パソコンはおろか、101ぴきわんちゃんのおもちゃさえももらえませんでした。

 

数年前にちょっと遠くのイオンにたまたまあったマイナーおもちゃなので、近場に無かったようです。

でも希望の品が無いからと言ってプレゼントごと無しにするという大胆不敵な行為…。

強欲に育っている我が子への戒めを感じます。

サンタだけでなく 親もまたーー

not only A,but also Bがここでまたしても登場

するとは…。

 

とほほ。

まあいいや。仕方ないからこれで遊ぼ。

何これ。

 

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あわーーー!!!

楽しいーーーーー!!!

 

 

その後、私はこれをいろんなところで披露し、喝采を浴びるようになりました。

 

あのサンタ否定派の2人も

「どうなってんの?」

「いいなー」

と積極的に羨ましがりました。してやったりとはこのことです。しかし一事が万事、2人は何としてもこいつの手品のタネを明かしてやろうとマジックセットを四方八方からこねくり回して「あ、なんだ、自分にもできるわ」とできてしまうなど、手品の客としてのマナーは最悪でした。

 

おばあちゃん達が遊びにきてくれた時などは、

思いがけない喜びもありました。

 

「ねえねえ、五百円玉かして!」

と言って手品を始め、

「おおー!すごいなぁ」 

めろんはすごいね〜」

とベタ褒めされたあと

「その五百円玉とっとけ」

 

と、おじいちゃんやおばあちゃんや叔父さんなどは手品に使った五百円玉をくれるのです。

勝率は脅威の98%…

 

サンタさん!ありがとう…!!!

 

こんな長期的に利を生み出すし、楽しいおもちゃをくれるなんて、やっぱりサンタさんってすごいや!

 

大人になってからディズニーのマジック実演販売に魅入られて散財したこともあります。

 

マジックって本当に楽しいですよね。

 

私はすぐに笑ってしまうし手先が器用じゃないのでマジシャンはできませんが。

 

そして…

今になってこうして書きながら思うことは一つです。

 

これ完全にお父さんが忘年会の景品でもらって思いつきで深夜に枕元に置いたやつだよ!!!!!!

 

来年もクリスマスが楽しみですね。

 

おしまい。

お母さんに任せちゃダメな話

こんばんは。めろんです。

 

突然ですが皆さん…後悔していることって

ありますか?

 

もしもタイムマシンがあり、過去の自分に忠告を加える事ができたら、どの日に行きますか?

 

私は…

 

2回行かせてください。

 

1回は高校の卒業式の前。

 

2回目は成人式の前。

 

そのときの自分の肩を掴んでアドバイスしたい内容こそ、本日のブログの内容です。

 

「お母さんのことは一切信じるな。

お母さんには運転以外任せるな」。

 

ではまず、強い後悔の残る高校の卒業式から振り返ってみたいと思います。

 

うちの高校は私服だったので、

卒業式は女子の大半が振袖かドレスでした。

 

でも推薦組以外は夏や秋にそんなもの考えてる余裕があるわけないんですよ。

 

そんな中、ギリギリの12月頃…お母さんが動き出してくれました。

 

「袴だけど、島田さんのパート先、アルベルで借りるよ」

「えっ、アルベル!?あれ結婚式場じゃないの?」

「貸衣装もやってるんだよ〜」

 

アルベルは、「JUSCO」の消え残りの上から「AEON」と書かれた、全ての地元民すべて(※全員)の青春を見てきた大型スーパー、

のすぐそばに突然ある結婚式場。

貸衣装の在庫数は、思えばそんなに多くないんですよね。専門じゃないから…。本来、会場の方がメインだから。

 

アルベルに着くと、広い試着室に通されました。

「さぁ、何色を持ってきましょう!?」

せかせかしたおばちゃん〜おばあちゃんぐらいのスタッフさんが出てきました。

 

「えーと、じゃあパステルカラーで」

 

「パ、パステルカラー??」

 

眉をひそめる衣装やさん。

 

おいおい、大丈夫か…?

 

のっけから不穏な空気が、私と衣装屋さんの間に流れ始めました。

破天荒vs常識人みたいな、そんな雰囲気が…。

なんでよ。パステルカラー知っててよ。

 

ややあって、白地に、薄紫と薄墨でナス…?と花の絵をぼんやりと描いてみたような…感じの、なんかイマイチな着物が現れました。絶対ナスってわけじゃないけど、よくわからない紫の楕円みたいなものが描かれている…。

一着。

 

えっ、一着!?

 

「あの、ほかにないですかね?なんかこう、ズラーって並んでそこから選ぶことってできないものですかね」

 

「それはちょっと…。今、ご希望に合いそうなものとなるとこれですねぇ。」

なんでだよー!もっと置け!

仮にも貸衣装部門に手ぇ出したんだからー!!!

「じゃあピンクや水色とか、黄色とか、そのへんのはどうでしょう?良さそうなのはないですか?💦」

「えっ、えっ、ちょちょちょっとまって!ピンク、水色、黄色、そんなにたくさんの色はちょっと無理ですよ💦」

 

この時点で、「かわいい、いい感じのを色に関わらず何着か見繕って持ってきてもらう」というのは無理だというのがわかり、更に「とんでもない客」みたいな空気が、衣装屋さんのみならず、自分の家族にまで漂い始めました。

 

当時、お母さん、私、弟、妹の4人で動き回らなくてはならず、夕飯やお風呂の準備もありのんびりしてる暇はなかったのです。

「何言ってるのー!💢時間もないってー!早くして!もう買い物してご飯作らないとだから!」

 

忙しいお母さんも怒り心頭。

仕方ないのでそれと、ナス色に合わせた紫の袴に決まりました。

 

さて、うちの学校はメイクに厳しく、お化粧の習慣がない高校生だったので、美容院でメイクしてもらうことにしたのです。

 

世間知らずというのは大抵の場合自分の首を締めることしかないわけで…

へぇー美容院でメイクもしてもらえるんだあ。

と初めて知るめろんジュース。

 

これもよくわからないからお母さんにまかせてしまった。

 

連れて行かれたのは地元の中でもコンクリが一番古く赤茶になっている古い町、のカメラ屋とペットショップ屋と民家の間にある、こんなところに美容院!?みたいな、ホント、隙間に突然あるなぁ!?っていう、美容院だったんだぁ!?って感じの、地元のおばちゃんおじちゃんが行く所…でした。名前も「美容 みづえ」みたいな雰囲気。

 

美容院ならほかにも普通にあるのに、お母さん、何故、ここに…?

 

しかしもう当日の朝。

「下見」という行為の重要性が頭をよぎってももう遅いのです。

 

「じゃ、メイクしていくわねぇ」

 

野村沙知代さんのようなおばちゃんが、

私の顔に粉や紅をのせていきます。

白塗りの顔。黒くきつめの跳ね上げアイライン。の隅に、「真緑」のカラーをイン。

唇はバブル期のようなビビットな紫ピンクーーーーー…。

 

完成した私の顔を見て美容院の息子(おじさん)は大ウケ。

ドロンジョ様みたいww」

 

いや、あんたのお母さんがやったんだよこれ!笑うな!!!!!!!

 

と思いながら、もう直す術もなくーーー

 

そこにはドロンジョ様のメイクをした、袴の人が立っていました。

 

 

卒業式、扉を開けて私がどれほど驚いたかは、筆舌に尽くしがたいものがあります。

 

 

みんな、超っ……可愛い!!!!!!

 

 

濃い桃色に、春に咲くあらゆる花が咲きこぼれ初々しくも華やか、18歳にぴったりな振袖…

優しいレモン色にぱっと咲いた大輪の椿が目を奪う、少女らしさを残しつつハイセンスな振袖に合わせた濃紺の袴…

あえての抹茶色の上に白やピンクのコスモスと手毬がキラキラ、可憐に絡み合う振袖…

どれもこれも、今日という日に相応しく、美しいことこの上ないではありませんか。

 

そして皆大学生のようなメイクで、髪型も着物に合わせ花やカチューシャが厳選され、完璧ないでだち、と言える仕上がりになっていました。

友人達がいかに今日のおしゃれを楽しんで準備していたか。それは今日この日の晴れ姿の輝きを見れば一目瞭然でした。

 

「なんかいつもの方がいいよ!?」 「メイク凄くない!?」

みたいな感じで言われたりもしましたし、

いつも褒めてくれる友達すらも「どうした!?」「めろんの姿楽しみにしてたのに」とか言ってくれてるのを聞いて、ヘナチョコ司令官である母と、大ウケしていた沙知代の息子を思い出し苦々しい気持ちになりました。高校の友達て皆ズバズバ言いますよね。

 

でも、こんなイマイチな卒業式だったけど、当時の自分にとっては可愛くできなかったなーっていうことはさほど問題ではなくて、それよりも受験、将来、うおーーーー!!!!

みたいな感じだったわけです。

 

で、時は流れて2年後。

 

成人式に備えて着物を借りよう。

 

またこの面倒な季節がやってきました。

 

成人式に出ない、という選択ができることすら知らなかった私は、とにかく半年前から緊張していました。中学のときのみんなが集まる…久々に…。楽しみだけどなんか緊張する。

 

で、あまり考えたくなかったんですね。

 

私は成人式の準備に消極的でしたが、その間にお母さんが暗躍。またしてもーーー

 

因縁の「アルベル」へと、私を誘ったのです。

 

当時の私に拒否権などもちろんありません。

 

アルベルは近所の島田さんがパートしているから、

お母さんは義理がたく、あれ以来、そこで積み立てをしていたのです。

逃れられるわけはありません。

 

卒業式で見た可愛い着物が、今度はあるかもしれない。

と、私はどこまでも楽天的でした。

 

再び、あの着付け室に通されました。どんな着物があるかはもちろん、秘匿されています。

 

「はい、何色にする?」

 

「じゃあピンクかオレンジで」

 

多分この2色なら可愛い柄のが多いんじゃないだろうか。

そう思ってお願いしたものでした。

 

どんなのがくるかな?ワクワクーーー。

 

出てきたのは、オレンジと、

黄色からピンクへグラデーションする柄のーーー

 

二着。

 

ちょっとォーーーーー!!!!!

なんでいつも一色につき一着しかないのよ在庫が!?なんでェ!?アンタ達腐っても貸衣装屋やってんでしょッ!?!?

どうなってんのよォーーー!!!!!!

あとそんな在庫少ないならアルバムくらい作りなさいよ!

そんで完全なピンクなんでないの?ほぼクリーム色だけどこの着物?人気色ピンクが10ヶ月前に在庫0になるてアナタ………!!!在庫数、見直された方がいいわよォーーー!!!!!!

 

私の中のオネエが力の限りそう叫びました。暴れ出したい!そう思いました。しかし島田さんの手前もあり、人としての手前もあり、言い出すわけにもいかず…。

 

そして今考えたら、黄色とピンクのグラデーションに、ふんわりと白い花が咲いているデザイン、の振袖、の方が可愛かったです。

 

でもそのときの私は「こっちのがかわいいな。んー、でも自分は元気だしな」

という、わけのわからない理由でオレンジ色を選択してしまいました。

 

更にやる気のない私は、またしても美容院をお母さんに任せてしまいました。

 

お母さんは今回は張り切りまくり。

「前の変なメイクのところじゃないよ。最近見つけたいいところがあるの。かえでの木っていうところなんだけど」

 

ーーかえでの木てそれ、地域交流センターとかじゃないよね?

お手玉づくり体験とかどんぐりでやじろべえを作ろうってやってそうだけど?大丈夫?

 

今の私ならその名前を聞いただけでギラリと目を光らせてそう俊敏に言うでしょう。そしてネットでストーカー並みに下調べを重ね、地元で最もおしゃれで位置もちょうどいい所を探して行くでしょう。

 

でも当時の私はかなり適当だったので、

「おー!笑」

みたいな感じでついていきました。

 

「ここの人は振袖の着付けのスピード日本一になったの。それに、めろんと同い年の子がいてね。普通科じゃないし知らないと思うけど、同じ学校だったんだって」

 

それで親近感を持った&感心したらしいお母さんの目には「かえでの木」しか映っていませんでした。しかし、よく考えてみれば、知りもしない同級生がいるというのが、なぜ成人式の美容院を選ぶ決め手になるのでしょう。何も関係ないじゃないですか。

あと着付けの“スピード”日本一て、別にそんなスピードは速くなくていいだろ。朝切羽詰まる予定なの?

で、肝心のヘアメイクの技術はーーー?

 

今ならこういった疑問がいくつもいくつも浮かびますが、当時はアホバカ受け身人間だったのです。おぉ、まぁ、お母さんが気に入ってるならそこでいいか…

みたいな感じでした。

 

かえでの木は、40年前の少女漫画のような外観でした。

 

レトロ可愛い!みたいなのありますが、みなさん、美容室だけは最新の設備とインテリアを信用しませんか?そうですよね?地元の「理容&パーマ 赤ふうせん」みたいな所、レトロ可愛いー!って行きますか?

行かないんですよ。

 

…学ばない私も当日「かえでの木」の前に立ったときにようやく

「美容 みづえ」のときのことがフラッシュバックしました。

 

出来上がりは…

 

白塗りに、二重幅のほとんどが黒く塗られ、濃い目の赤い口紅…、マスカラもつけたら、かなりケバい仕上がりに。

 

普通こんなとき、いい意味で使われる

“これが……私?”

が、悪い意味で浮かびました。

一生に一度の日の奇妙な大変身に、驚かずにはいられませんでした。

 

さらに、お母さんに任せた「成人式の写真撮影場所」。

 

これがまさかの「スタジオアリス」でした。

 

皆さん、スタジオアリスってご存知ですか?

 

日本全国どこにでもある子供写真館のアレですよ。

 

お母さんはどこで聞きつけたのか、スタジオアリスでも撮れる、という情報を得て、私を、子供写真館に連れていきました。

 

なんか違う、なんか違うよね。できるかもしれないけど、友達と私、なんか違うと思うの。

私は頭がグラグラしてくるのを感じていました。

スタジオアリスの優しいスタッフさんたちのブログには

「今日は、素敵なお姉ちゃんがきてくれました♥︎︎」

みたいな感じで、子供に混ざって、あの時の叫び以上に見た目がオネエのような仕上がりになった私の写真が掲載されるそうです。

 

ーーーまあまあまあまあ、心配しなくてもアリスのブログ見るのは子供の親たちだけだよ。同級生が気がつく可能性は著しく低い、そうだ、大丈夫。大丈夫なんだ。はわわわわ…。車の中で私はそう言い聞かせて正気を保ちました。

 

成人式は、平成の大合併を経て巨大になった市の新成人が全部ひと所に集められていました。そりゃもうとんでもない人数で、みんなとの再会が精一杯でした。どこにいるか聞いても会えないぐらいの人波。時間が短すぎる。この会場では友達全員には会えず、でもその中でも何人もの人に会えた!うれしい!久しぶりー!!!…

そっちがメインで、みんなの振袖はそこまで覚えていません。

だから当日の事はいいとして……

 

…あれから何年経ったでしょう。

手元に残ったのは、女装した山田先生のようなベタなオカマ感が漂い、派手さと時代遅れが競演する自分の写真だけです。

 

私は、成人式を終えた後で成人式がどういうものかよくわかり、

それ以降は芸能人の成人式を意味をもって見るようになりました。

普通、逆ですよね。

ちなみに成人式の1週間後原付にのっていたら、携帯を橋に落として粉砕、みんなの連絡先はわからなくなり、まぁいいか今度で、とやってたら大半と疎遠になりました。

これも私の人生の一部になってますね。

 

で、さすがに大学の卒業式はお母さんを一切関係させてはならん、と、強い意志を持って自分で振袖を大学生協にて大量の見本から選び(これがやりたかったんだよ、普通そうだよね?)

メイクは覚えていたので自分でやり、髪は行きつけの美容院に頼み、かわいい髪飾りを探しまくり…

最高に満足のいく装いができました。

 

最後、こうやって振り返ってみると、どれもこれも、お母さんが悪いのではなく、お母さんに任せた自分の適当さ、研究を怠った自分の適当さ、まぁいいやなんでもと思った自分の適当さがいけないのです。自分の悪いところ、適当。

これ、近年はこういった経験のおかげで前より治せてきているかもしれません。

 

また、随所随所で「別のを選んでいれば」回避できた後悔もあったように思います。

つまり自分の選択ミスということです。

 

ただ卒業式だけはホントお母さんに任せなくてよかった…。絶対そうだった。

それだけは間違いありません。

 

みなさんも、「何か悪いパターンに陥りがちだな」と思うような関係性の人とは、同じことをしない方がいいですよ。

 

まあ、こういった着物のトラウマから一時期着物を着るのにハマったりもしてましたし、

仮にこういうような失敗しても取り返せます。今ってほら、写真みんなに公開できるし!ね!大丈夫!!!

問題無し!!!!!!

 

ということで、皆さんの後悔も少しは軽くなるといいですね。

 

おしまい。

 

 

ツイキャスをやって予定外だった話

こんにちは!めろんです。

 

なんかこの前ね、フォロワさんとラジオごっこしたいな、と突然思ったんですよ。ラジオごっこの中で楽しい笑いとか生まれたらいいなって。

 

なんですけど、恥ずかしがり屋なので、コラボキャスやらない?ってなかなか誰にも言えなくて、とりあえず一人で練習してみようと思ったんですね。

 

フォロワーさんとしゃべりたい!とか、そういうタイトルをつけたり、合言葉での配信とかできるみたいなんですけど、その時はやり方わからなかったので全体公開でやったんです。

 

1度目は好きなフォロワさんきてくれて嬉しかったし、またやろうと思い2度目のキャスを始めました。

そしたら知らない男の子がやってきたのです。

 

版権フリーっぽいほのぼのしたカエルのアイコンに「よろしくお願いします」と書いてあり、Twitterだったら絶対フォローしないような「鄘(青色コロちゃん)」みたいな感じの名前。

正直全てが意味不明でした。

 

コメントの感じからしても幼い感じだったので、調子に乗って「もしかして小学生?」と言ったらコメントでキレてましたので、その幼さも含めて高校生ぐらいだろうかと見積もりました。実際は18歳でした。

 

その子が「コラボキャスしましょう」と言ってくれたので、難解なキャスのことを教えてもらえるし、ラジオごっこの練習できるぞ!って、やってみたんですね。

 

話してみると、なんかこう、いわゆるイケボみたいな人だったんですよ。

 

私はイケボとか最近の声優とか全然興味ないんです。山口勝平さんとかきり丸・ルフィの声は好きですけど…。平成の小学生なので…

 

でも、まずここが間違ってるってことをいやというほど思い知りしました。

キャスって、基本的に声に自信のある人が集う、まあ「音声の出会い系」みたいなとこだったんだね。

知らなかった。

 

まず私はその人に「声優さんみたいですね」と挨拶がわりに、褒めてみました。

 

謙遜するにしても、普通「いやいやー」とか、受け入れるにしても「えーうれしい」で終わるでしょ?

 

こっから地獄の2時間が幕を開けましたね。

 

「今なんて言った?声優っ……!?」

 

「え?💦(なんか悪いこと言ったかな?)」

 

「……………それは絶対に、ない」

 

「え?あ、ごめん…」

 

なんだこの反応??

 

本気で嫌なのかな。と思っていました。しかし、

 

「この前インスタライブしたんだけどさ、泊まりにきてた子がインスタライブはじめたんだよー。そいつ声カッスカスで、そいつよりはいい声だと思ってたんだけどー、イケボじゃないとか、そいつの方がイケボだとか言われてさー、見に来た女の子に…でもそいつ声カッスカスなんだよ?ブツブツ…」

 

あ、声に自信あるのか!

 

なるほど。褒められたいのね。わかったぞ。と思った私はとりあえず、

「えーでも全然、いい声だと思いますよ。なんかからかわれたんじゃない?」

 

と褒めました。

 

「いやいやいや、僕なんかクソボイスですよ。クソボイスって言葉があったら、クソボって言われてるからwwwほーんと、全然、ぜんっぜん、良い声じゃ、ないから」

 

「えぇ!?いやいや、そんなことないでしょw」

 

「いやも〜、ほんっとに。クソボクソボ。クソボですよ……。ってか俺の声って高いのかなぁ?最近なんか、言われんの。めっちゃ低いって。でも低いってなると○✖️△…」

 

っ長ーっ!!!

 

この人の声バナ、長っ!

声バナって何!?

 

声が高いか低いかってそんな語り合うべきこと!?「戦慄の楽譜(フルスコア)」以外で、声の高低そんな重要になってこないだろ!!!

 

高いと言われたいのか低いと言われたいのか私にはわかりませんでした。男の子は低いって言われたいのかな?でもどちらかというと高いと思う…たぶん…。なので比較のために芸能人を出すことに。

 

「ごめん、声が高いか低いかって私あんまりわかんないや。んーと、たとえばだけど低い声ってさ、えー、サンドの富沢とかかな?」

 

「……」

 

無視かい!??

さっきまで声バナあんなに嬉しそうに喋ってたのに!

おーい!

 

噛み合わない「声バナ」だけで早、30分が過ぎ去ろうとしていました。サンドウィッチマンは好きらしいけど、比較検討しようと思って出した富沢の声については、何も言ってくれませんでした。どういうこと?

 

彼は18歳ということでしたが、どうやら仕事をしていないし学校にも行ってないようです。

 

「仕事はねぇ、オレ以外の人が揉めて、オレ関係ないのにやめさせられちゃった」

 

なんだか浸るような感じの彼。

 

「え!?なにそれ、不当解雇ってこと?訴えた方がいいんじゃない?労働組合とかないのかな?」

 

「ねぇ…オレは関係ないのにねぇ……」(遠い目っぽい言い方)

 

会話が成立してるようで成立していません。

恐怖すら感じます。

 

 

「それで仕事は今は…?」

 

「……」

 

またかい!無視すな!!!

 

辞めさせられた本当の理由はわからないけど、それをいいことに、あーもうやる気無くしたーって言って実家でのらくらしてるやつだよ絶対。

 

会話をしながら、私が当初やりたかった楽しいラジオごっこができる感じじゃないな…と悟りました。まぁ、確かにまだ知り合ったばかりだし高望みしすぎちゃったかな。

 

もう少し、この子にもわかりそうな、この子に関係ある基本的な話をしてみよう。

 

「地元って、東西南北でいうとどのへんなの?」

 

「えぇー?…うーん」

 

「あ、いや、答えたくなかったら別にいいんだけど」

最初、芸能人なのかと思うほど

 

「いやいや、ちょwその質問はさすがにっ…w」

 

みたいに言ってきましたが、最終的に県まで明かしてくれました。なんの時間?

 

「でもオレ、北って(日本地図の)上と下どっちですかね?って仕事の面接で言った男だから」

 

えっ…!!!

 

知能低っ……!

 

知能、低っ…!!!!!

 

とは言えなかったですが、これ以外の感想はありません。

 

彼は

「バカだけど度胸あるオレ」

「知識なんかいらねぇぜ」

みたいなつもりだったのかもしれませんが、笑えません。心配になりました。

「どう見ても上に北海道あるよ」とだけ言っておきました。

 

「…オレの地元、ヤンキーさんがね、多いねw」

ん?

 

まさか…。

 

「へーそうなんだ。まあ田舎ほど荒れるって言うよね」

 

「………サポーターさんへるんだよなぁ、この話したら」

 

「なになに?どんな話?」

 

「おれ、背は小さかったんだけど、中学んとき喧嘩で負けたことなくて。実は……ヤンチャしてたwあと、うちのお父さんとお母さんも、元ヤンと元レディースw」

 

 

ーーー少年老い易く、学成り難し。

 

 

限られた時間の中に勉強すべきことは山ほどあるのに、私は今、なにをやっているのだろうか?

 

「いや、ほんと暴力って、よくないからね。うん、暴力はよくないな。」

 

私はこの一点張りで話を終わらせました。

 

でも最後のこの話が一番面白かったですね。

 

「オレの彼女もさ、ネットの人もそうなんだけどさ…。返事が、おそいの」

 

「へー、そーなの?LINEとかの返事が遅いってこと?」

「そう。」

「そうなんだ。連絡こないってどれくらい?数週間とか?」

「う〜ん、いやーほんとにね、連絡が、遅いの」

「えーと、最後に連絡きたのいつ?」

「オレの誕生日2月なんだけど。そんときはおめでとー!ってきたのよ。で、メモしてたよ、とか言われて、こわー!って。まだつきあってもねーのに、って思って」

 

!?

 

「いや、ちょっと待って!2月から連絡きてないの!?」

「うん、まぁ…」

 

とっくにふられてるよそれ!

別れたいんだよ相手!

ていうか付き合ってたかどうかも怪しいよ!!! 

 

「それ、連絡遅いとかじゃなくない?で、いつから付き合ったんだっけ?5月頭ってさっき言ってたっけ?え?連絡来てないのに、つきあ…

??」

 

「うーん…あんまり言いたくない。だってこのキャス1人潜り込んでるもん!これが誰だかわかんないし。怖いんだよね。彼女かもしれないし。彼女もぐるから」

 

もぐるかーーー!!!

 

どういう気持ちの人間!?!?!?

4ヶ月前に誕生日ラインだけしてそれ以降ライン返さなくて、キャスだけ昼間っから監視する恋人て…!いるとしたら屈折しすぎだろ!

どういうこと!?

そんでこの状況で、どうして彼女をストーカーっぽく仕立て上げる!?無理だろー!!!

 

「お互いめっちゃ好きなんだけどねぇ。それにめっちゃかわいいんだよなぁ」

 

はぁはぁ…めっちゃ好きな彼氏がいれば、その彼女はラインするよ。…

 

「いや〜うーんまぁ、今回は残念だけどさ、でもさ、18歳ってことだし、これからまたいいこといっぱいあると思うよ、うん」

 

「え?残念…?んん〜?ww」(不満そう)

 

「いまの彼女(???)さんの本心はもちろん私にはわからないけど、う〜ん…ずっと連絡しないで自然消滅狙いの人って、いるからね〜…まぁまた出会いがいくらでもあるよ、18歳だし」

 

「いや、もういいや。女って別れるときめんどくさい!もうオレから、別れよーってびしっとラインしてやろーかと思ってる!」

 

……

 

アホ!

 

私の反応を見て何かを悟ってくれたのか、それはわかりませんが、彼は今度は名誉挽回に打って出ました。

「オレのサポーターさ?9割女性なの。で、その人たちがみんなうるさいの。私以外の人とキャスしたー!とか。(略)そのことをもー、いとことかにいじられちゃって。コメントでなんて言われてると思う?ヒントはね、バイクと、王様」

 

いとこたちがイジリにツイキャス聞きにくるなんて、平和だな。

 

「せっかくのヒントなんだけど、ごめん、ぜんぜんわかんない」

 

「もー。じゃ、言うよ?正解は、ハーレム王!わかる?バイクといえばハーレーダビッドソンのことね。だからヒントがバイク。とにかく、ハーレム王!ってキャス中にコメントしてくんのー!もー、やなの!ほんとにやなのこれ!」

 

いや、ハーレム王って言われてもwハーレム王って言われてすごいか?え?小学生…?w

 

「そんなに嫌なんだ!wじゃ、NGワード設定できるからしたら?できるよ、NGワード設定。」

 

「いやっ、それは、やり方わかんないから!」

 

キャスについて詳しいはずの彼は、驚くほど頑なでした。

 

それから「オレの身長は168センチ」という話で、かなり引っ張られました。小さいのを気にしているのか、もしかしてかわいいと言われたいのか、ここもこの子、よくわかりませんでした。

「オレおっきいからわけてあげたーいw♪ん?なんだなんだ?バカにしてんのか?お?」

というおそらくいつもやっているであろう茶番に付き合いながら、己の人生の中で、これほどまでに無駄な時間が、果たしてあっただろうか?……と、

私は強く深い羞恥心にかられながら、心の中の後悔の螺旋階段を一歩ずつ降りて、(どの時点でどうすればこの状況を避けられたのか)という自問自答に入りました。

そのくらい私は「無駄」に対する苦痛を目の当たりにしていたのです。

身長の話は「いいと思うよ。リヴァイは160だよ」の一点張りで乗り切りました。

リヴァイのおかげで最終的に

「身長よりも、顔じゃないか?」

という説に落ちつくと、その話はしなくなりました。

 

いつ終わらそう、いつ終わらそうと考えていると、彼はこんなことを言い出しました。

 

ツイキャスって、プライベート配信ってできるんだけどさ。合言葉を入れてその部屋に入るのね。DMで交換して」

 

「あ、うん、…」

 

一生懸命盛り上げていたのもあり、どうやら、プライベート配信に誘おうとしてくれているようでした。

 

「…でも誰も入ってこないようにして2人でやるプライベート配信て、もはや電話だね」

 

なぜかここで彼、失笑。

 

「まぁ、なんでもいーんじゃないですかっ?」

 

んあああああーーー!!!!!!!!!!

 

呆れた声優のようなトーンに、私の手は考えるよりも早く、失礼を承知で突然キャスを切り、アカウントを削除していました。本当にごめん。そして心の中の螺旋階段をおりるのをやめ、ダッシュでかけが上がり現実に戻ろうと、私はすぐ妹に電話をかけました。

 

「ねぇ、聞いて!いまこんなことがあってわーわー…」

 

「あぁ、キャス界隈にいるのって、屈折した〇〇(自重)だよね。わかる」

 

中学の時などにキャスをやっていた妹によれば、キャス界隈はそういう人が多いので仕方ないとのことでした。また、やたらと「いや自分はクソボイスだ」などと言うのは、イケボと言われる人々のセオリー(流行?)でもあるらしい。

 

そんなこんなで、私は子供と喋った数時間を…

 なんとか実りあるものにすべく、

こうしてブログを書いてみましたが…

どうなんでしょうか…。

 

結局人は、

 

現実の自分や自分の過去などを知らない人のいる場所で、理想の自分や、モテる自分、必要とされる自分…というのを演出しようとするものなんですね…。

 

でも自分も18歳の時、ひたすら自分中心で自分のことばかり考えて、色んなことにすごく敏感で、喜んだり傷ついたり憧れたりわけもなく寂しかったり…貴重なお金で買った一冊の雑誌を何度も何度も大切に読んだりして、ワクワク、キラキラした感じに取り囲まれてたなぁ…って思いました。

そして、あの子と同じ、いや、もしかしたらもっと。

とにかくいっぱい褒めてほしくて認めてほしくて仕方なかったかもしれない。

 

痛々しいけど愛おしい。そんな頃を懐かしく思い出させてくれて、ありがとうと思いました。

 

色々書いちゃいましたけど、私なんかのキャスにきてくれて、話聞いた上でコラボしましょう!て言ってくれて、すごく嬉しかったです。

あと私の声について褒めてくれたことも、とっても嬉しかったです。

今後関わることは無いかと思いますが、また頑張ってお仕事して、元気に過ごしてくれたらいいなと思います。

 

おわり。

 

高校の時意地悪してきた友達があんなことになった話2

続きです。

 

ところで、一体顧問は何をしていたんだ?

と思う人もいるでしょう。

 

顧問は、かなりイジれるけどイジられてることに本気でブチギレてもいる、けどそれが怖くなくて面白いからどんどん人気者になってしまう…、という悪循環に陥っている数学のおじさん先生でした。

 

私はその先生のことをノリで「あっ♬おじいちゃーん!」みたいな感じで廊下の遠くからでも呼んでいました。周りが「めろんと先生、おじいちゃんと孫みたいww」と言ってきたことがきっかけです。私はおじいちゃん子なのでかなりの親しみを込めて呼んでたんですが冷静に考えると現役の先生に対して爺さん呼ばわりはかなり失礼ですね

だから先生もムカついていたのでしょう。

私にそう呼ばれるたびに、先生は憎しみをこらえたようなワナワナした笑顔で「本当に、俺はお前を殺したい」て言ってましたね。

 

私はほんと先生が大好きでしたが、そんなわけで、人間関係のトラブルではまったく頼りにならない人でした。しかもバドのなんたるかも一切教えてくれないのです。というかあんまり居なかったですね。

 

だから私は大学に入ってから体育でバドをやって、「バドミントンにはグレーゾーンていう球を返しづらいゾーンがあって、そこを狙うんだよ。右利きなら右側だったり、頭の横、肩の上のこことか…」

「上がったシャトルは重力で落ちる前に叩きつけること」

みたいなことを教えてもらって目から鱗が落ちました。それからはバドがみるまに上達、指導者の大切さを知りました。

 

まあでも当時この先生には出会えなかったので、顧問の先生とは

慕う→←殺す の関係しか築けませんでした。

 

さて、そんなアツミの意地悪ですが、

なんと突然に緩むのです。

 

多分1年の12月頃、突然アツミが、逆に私への興味をなくしたかのように、普通になったのです。

 

シンヤくんがなんなのかとかは怖くてまだ聞けませんでしたが、冬休みには4人でケーキバイキングに行ったりして、かなり楽しく過ごせました。誰だか知らないけどシンヤも、まさかこんなところでこんなブログに登場してるとは夢にも思わないだろうな…。

 

しかし2年になってすぐに事件は起きました。

アツミが練習中に足を骨折したのです。

しばらく休んだあと、医師から、もうバドをしてはいけないと言われてしまいました。

 

それ以来ペアを失った私ですが、アツミの嫌がらせもとりあえずなくなったので、部活はできる範囲で続けました。アツミは球だしなどをしてくれましたが、ダブルスの試合には出られません。

 

その代わり、毎年体育祭までの3ヶ月間、リーダーのダンス練習に没頭できました。難しめのダンスでやりがいもあるし、可愛い衣装も着れるし、部活は半端になっちゃったけどリーダーがあってよかった…。

 

さて、嫌がらせが終わってもアツミと二人で遊んだりはなくて、結局親友にも心友にもなれませんでした。でもまあ普通に喋ってはくれるし、どこか心ここにあらずみたいな感じはするけど、またツッコミもしてくれる。サヤカとはめちゃくちゃ仲良くなったし、もういいやと思いながら高校卒業を迎えました。

 

アツミはがんばらずに東京の中堅私大へ。私はバカなので絶対無理、と言われていた県内の国立に入るため浪人しました。そして汚名返上、誰もが驚く合格を手にしたというのに、その一大報告さえアツミにはせず…。

1年後の春にはお互い知らない桜を眺める、遠くの他人となっていました。

 

時は流れて3年後。

 

アツミと同じく上京していたサヤカからこんな連絡が入りました。

 

「ねえ聞いて!この前久々にアツミから連絡あったの。ご飯行ったら知らない女の人呼ばれて、うちのセミナーはいんないかってメッチャ勧誘されたの!」

 

「マジか!ほんとにそんなことあるんだwwww」

 

田舎で退屈していた私は大喜び。今でこそよくある話のようですが。

 

しかしサヤカは本当にイヤな思いをしたようでした。

 

「断ったら、今は若くて可愛いからいいけど、サヤカちゃん年取ったらどうするの?空っぽだよ?誰もいなくなるよとか言われて、超イヤだった」

 

「えぇ、最悪だね」

 

「そう!しかも内容も、ちょっと本読めば書いてあるような浅いことばっかりなの。たしかにまったく本とか読まないで生きてきたら新鮮に感じるのかもしれないけど。で、責められてる間、アツミを助けてーって目で見るんだけど、知らん顔して携帯いじってんの。あんな人だと思わなかった」

 

「えー、だってアツミはそりゃ心、無いよ。バド部の時のあの嫌がらせ忘れたの?」

 

「え!?なにそれ?」

 

実はこの時初めて、サヤカがアツミの意地悪に気付いていなかったことがわかったのでした。

 

アツミが入っていたセミナーは、当時若い子を集めて「お金持ちと結婚する方法は…!」とか、そういうのを披露していたやつ、のようです。具体的にはこのテーマひとつしか知りませんが。

 

この話は高校の上京組の間でたちまちひろまりました。なぜなら上京組はセミナーに参加しやすいため、アツミに片っ端から勧誘されたからです。

 

ひとりが騙されて行ってから、みんなの反応見て、やばいと気づいて絶縁したとかなんとか…

 

また月日は流れ、社会人2年目。

 

「アツミが変なブログ書いてるww」

とサヤカから連絡が。

 

どれどれ、とアクセスしてみたら、なんと。

 

「愛され女子になる方法♥︎︎」

 

みたいなn番煎じのブログではありませんか。

 

しかも嘘のモテ話と、ありふれたスピリチュアル話と、なんだかお金を取ろうとするイベント情報が満載。

 

皆さんすでにアツミの性格はご存知でしょうから、このブログの主題からして同級生の私たちと一緒に「おいおい誰だよwww」と言いたくなるでしょうし、読めば読むほど「嘘つけww」といじり倒したくなることでしょう。

 

どうやらサヤカを勧誘したあとすぐに、アツミの入っていたセミナー団体は潰れたらしいんです。

 

しかし、それならなぜこの変なブログを書いているのか?

 

そう、アツミは正気を取り戻せなかったのです。

 

一度はまともな営業の仕事についたものの、つらくて辞め、あの時セミナーで知った異常なカネの動き方にすがる道を選んでしまいました。

 

彼女はセミナーの残党を

「言霊のチカラを教えてくれたスピリチュアルな女神、華凛さんがいなかったら今の私はない。。(T . T)」

などと崇めてしまっていたのです。

 

『「愛されたい女子のための恋愛結婚カウンセラー ATSUMIによる愛され講演会」

 ⭐️60分 2万5000円⭐️

皆さんとお会いできるのを楽しみにしています💕💕(*^▽^*)』

 

 

サヤカ「高ぇ〜ww」

 

 

とうとう中学メンバーのコントを高校メンバーがリアルコントによって超えてきた瞬間でした。

 

明るくて人気者だったアツミには、もうあの頃の友達はいません。

 

そうそう、結局なぜ私をいじめてきたのかといえば、おそらく双子の彼氏が私を含む何人かを褒めたかららしいです。

なんとなくどうしても私のことだけは褒めてほしくなかった、みたいな。わからなくもないですけど、それであれかぁ…。う〜ん…w

 

まとめますが、

 

この話から私が得たものは、

「人をいじめるような人間は、ちょっと足りない」ということです。

 

足りないのは知能というか心というか…そこはまだ言葉にできませんが。

 

それは、人によって、ある段階、ある社会では影響なくやっていけるのです。

しかしやがてその性質が身を滅ぼすのです。

 

今回のパターンでは、アツミは普通の人が基本的にわかるはずの「人をいじめるべきではない」ということができないのに社会にうまく紛れ込んでいました。でもそれは同時に、「普通の人がヤバイとわかること」も、わからないということだったのです。

時が満ち、それらすべてはアツミという一人の人間となりました。そして当時は気づかなかった全員がそのことを知るようになったのです。

 

だけどあの時、あの体育館で、バドミントン部を一緒に見学していたのは、

 

世界にたった二人、高校一年生の私とアツミでした。

 

知り合ってすぐに笑いあっていた2人の、これから私たちにどんな楽しいことが起こるんだろう?というワクワクしてたまらない気持ちだけは、いつまでもいつまでも、あのコートに残ってるような気がします。

 

…ところで、書きながらもう一つ思い出しました。

 

たぶん嫌がらせが本格化する前、アツミはいまいましげに私をあしらう場面で

「チッ…でもこいつ(私)、お母さんと同じ誕生日なんだよな…」

と、弁慶の泣き所みたいな感じで、私へのイライラを抑えていたことがありました。

 

いや、

ここでも誕生日のおかげでちょっと救われてたんかい!?!?!?(※家庭教師の話参照)

みんなして一体なんなんだよーーー!!!

 

ハァハァ…長くなってしまいましたね。

 

だけど気をつけてくださいね。アナタの過去にも、「第二・第三のアツミ」がいるかもしれませんよ。

 

ーおしまいー

高校の時意地悪してきた友達があんなことになった話

こんにちは!めろんです。

在宅勤務で頭の中どころか存在が全部花畑になってしまいました。出勤の時「実はね、これもこれもこれも締め切り近いんだよね」って先輩が言ってたなぁ……ウフフ… アハハ…たんぽぽ。

 

さて、そんな感じなので、いつも以上に過去の思い出に浸ろうかと思います。

 

高校生になったばかりの頃です。

 

当時の私は「人生ではできるだけいろんな種類のスポーツをやってみたい」という考え方を持っていました。

 

中学まで器械体操をやっていたので系統が似ているダンスと迷いましたが、うちの学校のダンス部はすでに普通科以外の凶悪なギャルの巣窟になっていたので断念。最近よくある「ギャル=元気をくれる最高の女の子」という思想は口裂け女やコックリさんなどと同じ都市伝説なので、いずれ一刀両断したいと思っていますが、まぁそれは今は置いといて。

人生に一度はコートでのスポーツがやってみたくもありました。

 

とはいえ、バレーやバスケは流石に初心者だときついよなー。それにバレーのボールは信じられないほど痛い、バレーのVはバイオレンスのV。というわけで中学に部活がある率の低い、バドミントン部に見学に行きました。

 

その体育館で出会ったのが、アツミでした。

 

アツミは細身で、健康的な肌色で、赤い細い眼鏡をかけて一人でぼんやり見学していました。

 

地味というほどでもないけど、真面目そうな感じだったかな。

 

少し話してみるとハスキーボイスで、

「なんでだよ!ハハハハハハ」

みたいな、かなり明るいツッコミをしてくれました。

「この子、好き!」

 

私は一瞬でアツミを好きになりました。

 

(この子とならもしかしたら“親友”になれるかも)

 

15歳のめろんジュースの胸にはそんな期待がふくらみました。

 

アツミ、サヤカ、マユ、そして私めろん。この4人は元気がよく、部活の中では気が合って、すぐ4人組になりました。

 

私とアツミはともに初心者だったのでちょうどよく、ダブルスを組むことになりました。

 

めろん、うちら絶対うまくなろ。」

 

アツミはいつでも熱血でした。

 

「うん。朝練もしたいよね」

 

ニッ、と不敵に笑ってそれに答える私。


しかし朝練したいほどのもどかしいやる気は、その後のランニングで本気を出して「意外と足速い奴」みたいになったあと満足して消え失せました。

 

そんな感じで部活がスタート。授業が終わればワーッと帰宅する帰宅部のみんなを見送り、ジャージに着替えて、ランニング、ストレッチ、玉打ちの練習。……

 

ここで大問題が発生しました。

 

なんと、バドが思ったより全然楽しくないことに気付いてしまったのです。

 

そして相対的に体操が自分とってめちゃくちゃ楽しかったことも知りました。

 

小学校の部活でやっていたハードルも、習っていた水泳もピアノも、全て競い合いとはいえ自分との戦いです。

「相手はここが苦手だからそこにつけこむ」とか「相手の取れないところに打ち込んで負かしてやる」というバトル思考が育たなかったのです。

なので私はバドが弱かったのです。

どうしても反射的に相手がとりやすいところに打ってしまう。

また脳に刻み込まれた「指先まで意識」の指令も強すぎたため、弱いのに妙に華麗に舞う、謎のバドミントン部員が爆誕しました。

 

それまでは結構活躍していたので

(部活で弱いって、こんなにもみじめなんだ…)  

というつらさを知り、体操かダンスの方が合ってたなー…変えようかな…と、悶々としていました。

 

そんな時アツミは、

 

「おい、お前絶対やめんなよ」

 

と、青春コメントをしてくれました。

 

私は「………」と渋い顔をしながら

 

(コイツ、熱くて最高〜!!!)と思っていました。

 

中学は最高に面白かったけど、あんまりこういう熱い人はいなくて、私も含めそういうのは我先にとバカにしまくる人間の集まりだったのです。

 

中学時代は、とにかく「ふざけの戦争」といった感じでした。

 

誰かが突然

「先輩!ちょっと話があるんですけど…」

などと突然即興コントを始めたら、自分の役を瞬時に作って次々参加しストーリーを繋ぐ。参加してない人は野次で盛り上げる。

 

雨の日も雪の日も、ただ自分たちが笑うためだけに、無数にコントを生み出し続けました。

例えば、「あーあ、私、かわいいからなぁ」とかなんか言えば、周りが勝手に「大金持ち」「強引なイケメン」「幼なじみ」「オネエ」など個性的なキャラに次々となりきって私に告白をしまくり、一番笑いをとったイカれ野郎を私が最後に選んでカップル成立……まあ全員イカれてるんだけど……

 

そんな壮絶なふざけバトルを始めてくれるのでした。

 

しかし高校ではそうはいきません。

 

「私かわいいからさ」なんて試しに言おうものなら、アツミたちは驚いて

 

「いやそれ自分で言っちゃうんだ!?w」

 

えっ。

 

私「マジ…?」

 

マジ…?じゃないよ!普通なんだよ!
だって明らかに中学のノリが異常なんだから。

まあとりあえずその場は「今のはこういう冗談で…」とか説明する最悪の感じで場をしめくくりました。

 

その後も慣れてくれれば変わるかなと思い、わざとすごい死語を言うとか、逆のことを言う、わざとぶりっ子など極端なキャラを演じる、みたいなのをやってみました。しかし、

 

「なにそれ古っ!w」 

めろん今のかなりぶりっ子じゃない!?」

 

もうナルシストなぶりっ子で、かつ使う言葉も古すぎる人みたいになってるよ。って、ちょ、コラーッ!!!どんな高校デビューしてくれちゃってんの、私ーッ!!!!!

 

思えばこういうのもアツミは他の二人よりも「それやめろ」みたいな感じでイラッとしてたから、これも影響したんじゃないかなとは思います。

 

そんな中、5月くらいかな。結構早い段階でアツミに陸上部の彼氏ができました。

 

「へー、そうなんだ!おめでとー」

「結構イケメンじゃん?」

 

マユとサヤカはこんな感じ。
相手はいかにも陸上部にいそうな日焼けした男でした。

 

最初は「ふーん、へー」という感じだった私も、彼が双子だと聞いたら目の色を変えました。それもそのはず。大好きな世界仰天ニュースで「双子の不思議スペシャル」とかやってますからね。アツミには双子の不思議エピソードを2.3紹介したあと「それっぽい話があったらすぐに私に教えてくれ」と詰め寄りました。特になかったのか教えてくれませんでしたが。

 

まあこんなところも、ちょっと、ちょっぴりだけ変人じゃなくもないかなぁ〜???って気もしなくもないので、根が真面目なアツミは(なんなんだ、こいつ)ってイラッとしたかもしれないですね。

 

6月頃から、アツミの私に対する当たりが強くなってきました。

 

だから私はアツミには恋バナしづらく、アツミ以外の二人にしていました。それがこちら。

 

「高校生になったし、中1のときに給食委員会がいっしょで憧れてた当時中3の先輩に、思い切ってメアド聞きたいな…( つ∇・)💕💦」

 

なんてかわいい相談なのでしょう。

 

中学までだったら、普通に
「もうね、タツヤ先輩ってすっごいかっこよくて!」
とか先輩のことを話しながらだんだん気持ちが高まって(という設定)
「かっこよ○×△%☆$…あ…あぁぁーーっウガーッ!!!(ダダダダ)」
「めろーーん!」
「戻ってこーい!!!」
「キーッ!!!」

だったりとか、(?)

キモポエムをせっせと書いて披露し、
「キモすぎwww」
「これはキモいの才能」
など、ウケて満足したり、

 

もはや恋の皮をかぶったネタでしかありません。

 

それなのに少しは空気を読んだめろんジュース高校1年生。成長の色が見えますね。

 

「えーでも先輩って西高でしょ、どうやって聞くの?」とサヤカ。

 

「うん、お兄ちゃんが先輩と友達っていう子に、思い切って聞こうと思う」

 

「おー!いいじゃんがんばりなよ〜」とマユ。

 

こんな話で高校生らしく盛り上がっていました。※ちなみに先輩は彼女がいたらしくメアド交換も丁重に断られました。

 

そんな雑談はともかく、

バドはつらいばかり…。

 

ある日のことです。アツミが会話してくれそうな感じだったので、体育館までの渡り廊下で思い切って

「そういえばさ、先輩のメアドの話なんだけど」 

と私は持ちかけました。もう彼女いたみたい〜!まああの高校女子多いしそりゃいるよね〜wみたいな話をしようとしたのです。

 

するとアツミはものすごく不機嫌そうに

 

「あたし、その話、聞いてないんだけど?」

 

と睨んできたのです。

 

「あ、ごめん!!!」

私は慌てて謝りました。

 

「けど、なんか最近アツミ怒ってる気がして言いづらかったんだよね。ダブルスのペアなんだし、私がなんかしたなら言ってほしいんだけど」

 

するとアツミはあからさまにキレだしました。

 

「は?怒ってねーし」

 

「いや、怒ってんじゃん」

 

「は?怒ってねーわ。もういいわ」

 

ほんとは怒ってる彼氏のようなアツミは、そのまま私を置いて先に体育館へ行ってしまいました。

 

それ以来、練習中ミスをすると舌打ちをされたり、無視されたりするようになりました。

試合中、敵のファインプレーは「ナイスイン!」とか「ナイスショッ」とか、敵のミスにも「ドンマイドンマーイ!」などと、さもスポーツマンシップのお手本みたいな感じで言うアツミ。

 

本来、ダブルス中に敵のことはそんな褒めませんが、アツミはなんか「アタシは敵も全力で褒めていく。それがアタシ」みたいな雰囲気で周りを圧倒していました。

その一方、ペアの私のナイスプレーは徹底的に無視。コミュニケーションは「チッ」とか「ふざっけんなよ」みたいな超小声の罵声のみ。目を合わせてくれるのは一瞬の睨みつけだけ。

 

私に渡すシャトルはゴミとでも言いたげに、新入りいびりのゴミ清掃員のようにシャトルを投げてよこす…。

 

って、おーい!敵褒めの人格者と見せかけて、体育館のコートで新人いびりのゴミ清掃員を思わせるな!おーいみんなー!ここににせスポーツマンがいるんだよー!おーい!おーい…

 

明るくて、チャラ男のようなアツミ。ちょっと絡みに行ったら笑いをとって帰ってくる。

他の部員たちは私たちよりもおとなしかったのもあり、完全にアツミにハートを掌握されていました。

 

夏の終わりより前、セミが一番うるさい頃。

何があったのかアツミは陸上部の双子と別れました。にせスポーツマンだからかな。

そして次は「シンヤくん」とかいう知らない男子の話を、私以外の二人にだけし始めました。どうやら別の高校のようでした。

 

アツミは、

「あのプリクラ見る?」

みたいな感じで二人にいろいろ見せて、ああだこうだと盛り上がるのですが、

私が近づくと凄い勢いで隠すのです。プリ帳を。

 

そりゃもう、わざと中のわざとですよ。突然無表情になってプリ帳激しくカバンにつっこむって感じ。プリ帳、ってなつかしすぎるな。

 

…中学の時はヤカラも多かったけどみんなと仲良くやってたし、こんな意地悪してくる人いなかったので、私はすっかり疲弊してしまいました。

 

ただその他の二人、マユとサヤカの二人はアツミにのっかって私に意地悪したりしませんでした。

 

いい奴らなのは間違いないですが、そもそも彼女たちはアツミの意地悪に気付いていなかったらしいです。

 

アツミはそのくらい巧妙にやっていたし、私以外の二人にはあの感じのいいハスキーな笑い声とツッコミを絶やさなかったのも要因でしょう。

 

私も、アツミを信じ切っているし、私にも普通に接してくれるサヤカとマユに窮状を訴える気になれませんでした。

 

かわりに当時、クラスの子たちに「部活でいじめられる。つらい、もうやめたい。でもダブルスがあるからやめられない」とこぼしていたそうです。

 

私はそれを言ったことは2学期には既に覚えていませんでした。いじめられてるというのはさすがに大袈裟な気もしますが…。困っていたんでしょうね。

 

さて、毎日一緒に帰っていたサヤカに、思い切ってこれだけ切り出してみました。

 

「アツミさ、何か私のこと悪く言ってない?」

 

「いや、そんな言ってないけど、なんか最近怒ってるよね?ってアツミに聞いたっしょ?普通、本人に言うかぁー、って言ってたよ。だからなんか怒ってるっぽいけど、めろん心当たりないの?」

 

「えーなにそれ!でも、マジでない、あるとすればバドやめたがってることかな」

 

「まあそれはあるかもね。アツミがペアなんだし。やる気出せよ」

 

「うーん。そうだよね、うん。でも…」

 

サヤカは中学からやっていて一番上手かったので、弱いからつらいとかは恥ずかしくて言い出せませんでした。経験者のサヤカに相談してたらいいアドバイス貰えただろうけど、プライドとかも一応ありますしね…仲良いとなおさら…。

 

それにしても、本人に聞かないでサヤカに聞いてもわからないし、八方塞がりじゃないですか。

 

でも、まさかあのアツミが、のちにあんな風になっていくとはこのときは思いもしませんでした。

 

ーつづくー