かいたことおきば

メロンと一緒

家庭教師してたときのこわい話

みなさんこんにちは。来週から冬の寒さになるらしいですね。

わかります。寒いなーと思ってました。そんな中でもこわい話で逆にあったまれればと思います。

 

大学時代はよく家庭教師に行ってました。

 

なんでカテキョにしたのかといえば、中2の時私もギャルのお姉さんに来てもらっていて、ギャルなのに理系で、明るくて、すっごく憧れてたんですね。

 

とは言えカテキョは結構厄介でした。すごく静かな性格で、あんまり返事がないってことが割とあるんですよね。

 

だから、私に問題があるなら交代した方がいいですか?って会社を通して聞くと「それはイヤだ」って言われるのです。だからほんとに大人しいんだなという感じでした。

 

最初は元気よくイナズマイレブンについて語ってくれた女の子も、途中からお母さんと大喧嘩して反抗期に突入し、私の前でもほぼ喋らなくなりました。どうした?なにかあったの、大丈夫!?って思いっきり心配されたかったんだなぁといまはわかります。でも当時は分からず困惑。気まずい。この部屋で笑ってるのは常に立向居勇気だけなのです。

終わるとお母さんからの悲しみや最近のネタバレを聞く時間でした。今日のあの子はどうでしたか?はい、ずっと黙ってました…実は昨日は22時頃から突然「返却がある」ってTSUTAYAに連れて行かされて…えっ!…遅くに大変だったんですね…

 

しかし、そんなことが問題でないくらいのことがこの身に振りかかろうとは、当時はまだ知る由もありませんでした。

 

大学3年のときでした。

 

秋頃から、中3の女の子につくことになりました。

 

原チャで行きたい面倒な距離ではあるけど、今までの家に比べるとかなり大学の近くで坂道もない。行きやすくて嬉しかった。

 

地図を頼りにたどり着くと、小さな日本家屋っぽい感じのお家でした。

 

照明はなぜか、暗い。

 

「こんにちはー…」

 

声をかけましたが、返事はありません。

 

玄関は裸電球1つで、オレンジ色の光。

そして脚立が無造作に倒れていました。

なんで脚立が出しっぱなしなんだ…?

 

「あぁ、お待ちしてました」

 

「!」

 

私は一瞬混乱しました。なぜなら登場したお母さんが、厚手のハンテンを着て、スキー場でしか見たことのないニット帽を目深にかぶっていたからです。

ここは雪山の山荘か?

 

「あっ、めろんです。はじめまして。よろしくお願いいたします」

 

「ええ、ええ、まずはこちらへどうぞ」

 

お母さんは、正面のフスマをあけました。

そこはなんの変哲もない和室でした。

 

「まず、失礼ですが」

 

お母さんは厳しい顔でそう切り出しました。

 

なにを聞かれるんだろう?私は身構えました。

 

「先生は、なに座のなに型ですか!?」

 

何て!?

 

「あっ、魚座のO型です…」

 

パァッ。お母さんの顔が明るくなりました。

 

「この子もなんですよ!」

 

「あっ、いや〜ハハハハハハ…!そうなんですかー!わー!奇遇だなぁ」

 

この子って言ってもまだ本人いないけどね!?

星座と血液型て、もしかして占いとか強烈に信じる人なのかな???

 

星座と血液型を気に入られたことによりなぜかすっかり信頼を得た私は、その後は朗らかに色々と話して、本人に会いました。

 

「はじめまして」

小柄で、おとなしそうな女の子でした。

めろんです!よろしくね!」

彼女は「ゆかりです。よろしくお願いします」と言ったあと、クスクス笑い続けました。クスクス笑い続ける癖がある子でした。

 

家の中は相変わらず、ぼんやり暗い。

 

廊下に出ると、無造作に本が落ちていました。よく見るとコンビニの怖い話でした。

怖い…。

 

お母さんに見送られて、私は2階へ上がりました。

 

2部屋ありましたが、1つの部屋のフスマが空いていて、視界に飛び込んできたのは、失礼ながら

いわゆる「汚部屋」でした。

 

それもかなりの。

紙類や衣類で足の踏み場もないくらい衝撃的に埋め尽くされたその部屋で、姿見だけが、壊れた漂流船のように浮かんでみえました。

 

「!!!」

 

「あっ、ここ妹の部屋w」

 

見られても特に気にすることなく、彼女は奥の部屋に案内してくれました。

 

そこは普通に片付いた平凡な部屋でした。私たちは少し話をして、すぐに仲良くなりました。同じ星座と血液型だからでしょうか?

なーんて(笑)。

 

彼女の志望校と成績にはそんなに乖離はなく、少し頑張ったら入れそうだなという感じでした。

飲み込みも早いし、なにより話が面白いのです。

私はその子と楽しく勉強しました。

 

階段に出ると、突然、やたらカッコいい外国産の猫がスタスタ歩いてきてギョッとしました。

目の色は明るいグリーン。毛の色は見事なブラウン。名前はジョージ。いや名前のセンスすごいある。こんなかっこいい猫いる…?そして、妹はすごい部屋。床にはコンビニの怖い話。お母さんは雪山で事件の秘密を握ってそう…。

 

さまざまな個性がぶつかり合い、私は今までになく混乱しましたが、まぁでも、親子共々気に入ってもらったようでもちろん通い続けました。

 

ところで私は元来、「なんであの子と普通に話すの?」などと言われたり、「そこがえらい」と言われたり、「なんであいつに相槌打つんだよ!調子乗るだろ!」とか、「あの子がよくないって気づくの遅すぎ。みんな最初から避けてたじゃん」などなど、よく言われていましたが、あまり人を避けない人間でした。鈍いようなのです。最近は、この話の反動で警戒していますが。

 

続きます。