かいたことおきば

メロンと一緒

高校の時意地悪してきた友達があんなことになった話

こんにちは!めろんです。

在宅勤務で頭の中どころか存在が全部花畑になってしまいました。出勤の時「実はね、これもこれもこれも締め切り近いんだよね」って先輩が言ってたなぁ……ウフフ… アハハ…たんぽぽ。

 

さて、そんな感じなので、いつも以上に過去の思い出に浸ろうかと思います。

 

高校生になったばかりの頃です。

 

当時の私は「人生ではできるだけいろんな種類のスポーツをやってみたい」という考え方を持っていました。

 

中学まで器械体操をやっていたので系統が似ているダンスと迷いましたが、うちの学校のダンス部はすでに普通科以外の凶悪なギャルの巣窟になっていたので断念。最近よくある「ギャル=元気をくれる最高の女の子」という思想は口裂け女やコックリさんなどと同じ都市伝説なので、いずれ一刀両断したいと思っていますが、まぁそれは今は置いといて。

人生に一度はコートでのスポーツがやってみたくもありました。

 

とはいえ、バレーやバスケは流石に初心者だときついよなー。それにバレーのボールは信じられないほど痛い、バレーのVはバイオレンスのV。というわけで中学に部活がある率の低い、バドミントン部に見学に行きました。

 

その体育館で出会ったのが、アツミでした。

 

アツミは細身で、健康的な肌色で、赤い細い眼鏡をかけて一人でぼんやり見学していました。

 

地味というほどでもないけど、真面目そうな感じだったかな。

 

少し話してみるとハスキーボイスで、

「なんでだよ!ハハハハハハ」

みたいな、かなり明るいツッコミをしてくれました。

「この子、好き!」

 

私は一瞬でアツミを好きになりました。

 

(この子とならもしかしたら“親友”になれるかも)

 

15歳のめろんジュースの胸にはそんな期待がふくらみました。

 

アツミ、サヤカ、マユ、そして私めろん。この4人は元気がよく、部活の中では気が合って、すぐ4人組になりました。

 

私とアツミはともに初心者だったのでちょうどよく、ダブルスを組むことになりました。

 

めろん、うちら絶対うまくなろ。」

 

アツミはいつでも熱血でした。

 

「うん。朝練もしたいよね」

 

ニッ、と不敵に笑ってそれに答える私。


しかし朝練したいほどのもどかしいやる気は、その後のランニングで本気を出して「意外と足速い奴」みたいになったあと満足して消え失せました。

 

そんな感じで部活がスタート。授業が終わればワーッと帰宅する帰宅部のみんなを見送り、ジャージに着替えて、ランニング、ストレッチ、玉打ちの練習。……

 

ここで大問題が発生しました。

 

なんと、バドが思ったより全然楽しくないことに気付いてしまったのです。

 

そして相対的に体操が自分とってめちゃくちゃ楽しかったことも知りました。

 

小学校の部活でやっていたハードルも、習っていた水泳もピアノも、全て競い合いとはいえ自分との戦いです。

「相手はここが苦手だからそこにつけこむ」とか「相手の取れないところに打ち込んで負かしてやる」というバトル思考が育たなかったのです。

なので私はバドが弱かったのです。

どうしても反射的に相手がとりやすいところに打ってしまう。

また脳に刻み込まれた「指先まで意識」の指令も強すぎたため、弱いのに妙に華麗に舞う、謎のバドミントン部員が爆誕しました。

 

それまでは結構活躍していたので

(部活で弱いって、こんなにもみじめなんだ…)  

というつらさを知り、体操かダンスの方が合ってたなー…変えようかな…と、悶々としていました。

 

そんな時アツミは、

 

「おい、お前絶対やめんなよ」

 

と、青春コメントをしてくれました。

 

私は「………」と渋い顔をしながら

 

(コイツ、熱くて最高〜!!!)と思っていました。

 

中学は最高に面白かったけど、あんまりこういう熱い人はいなくて、私も含めそういうのは我先にとバカにしまくる人間の集まりだったのです。

 

中学時代は、とにかく「ふざけの戦争」といった感じでした。

 

誰かが突然

「先輩!ちょっと話があるんですけど…」

などと突然即興コントを始めたら、自分の役を瞬時に作って次々参加しストーリーを繋ぐ。参加してない人は野次で盛り上げる。

 

雨の日も雪の日も、ただ自分たちが笑うためだけに、無数にコントを生み出し続けました。

例えば、「あーあ、私、かわいいからなぁ」とかなんか言えば、周りが勝手に「大金持ち」「強引なイケメン」「幼なじみ」「オネエ」など個性的なキャラに次々となりきって私に告白をしまくり、一番笑いをとったイカれ野郎を私が最後に選んでカップル成立……まあ全員イカれてるんだけど……

 

そんな壮絶なふざけバトルを始めてくれるのでした。

 

しかし高校ではそうはいきません。

 

「私かわいいからさ」なんて試しに言おうものなら、アツミたちは驚いて

 

「いやそれ自分で言っちゃうんだ!?w」

 

えっ。

 

私「マジ…?」

 

マジ…?じゃないよ!普通なんだよ!
だって明らかに中学のノリが異常なんだから。

まあとりあえずその場は「今のはこういう冗談で…」とか説明する最悪の感じで場をしめくくりました。

 

その後も慣れてくれれば変わるかなと思い、わざとすごい死語を言うとか、逆のことを言う、わざとぶりっ子など極端なキャラを演じる、みたいなのをやってみました。しかし、

 

「なにそれ古っ!w」 

めろん今のかなりぶりっ子じゃない!?」

 

もうナルシストなぶりっ子で、かつ使う言葉も古すぎる人みたいになってるよ。って、ちょ、コラーッ!!!どんな高校デビューしてくれちゃってんの、私ーッ!!!!!

 

思えばこういうのもアツミは他の二人よりも「それやめろ」みたいな感じでイラッとしてたから、これも影響したんじゃないかなとは思います。

 

そんな中、5月くらいかな。結構早い段階でアツミに陸上部の彼氏ができました。

 

「へー、そうなんだ!おめでとー」

「結構イケメンじゃん?」

 

マユとサヤカはこんな感じ。
相手はいかにも陸上部にいそうな日焼けした男でした。

 

最初は「ふーん、へー」という感じだった私も、彼が双子だと聞いたら目の色を変えました。それもそのはず。大好きな世界仰天ニュースで「双子の不思議スペシャル」とかやってますからね。アツミには双子の不思議エピソードを2.3紹介したあと「それっぽい話があったらすぐに私に教えてくれ」と詰め寄りました。特になかったのか教えてくれませんでしたが。

 

まあこんなところも、ちょっと、ちょっぴりだけ変人じゃなくもないかなぁ〜???って気もしなくもないので、根が真面目なアツミは(なんなんだ、こいつ)ってイラッとしたかもしれないですね。

 

6月頃から、アツミの私に対する当たりが強くなってきました。

 

だから私はアツミには恋バナしづらく、アツミ以外の二人にしていました。それがこちら。

 

「高校生になったし、中1のときに給食委員会がいっしょで憧れてた当時中3の先輩に、思い切ってメアド聞きたいな…( つ∇・)💕💦」

 

なんてかわいい相談なのでしょう。

 

中学までだったら、普通に
「もうね、タツヤ先輩ってすっごいかっこよくて!」
とか先輩のことを話しながらだんだん気持ちが高まって(という設定)
「かっこよ○×△%☆$…あ…あぁぁーーっウガーッ!!!(ダダダダ)」
「めろーーん!」
「戻ってこーい!!!」
「キーッ!!!」

だったりとか、(?)

キモポエムをせっせと書いて披露し、
「キモすぎwww」
「これはキモいの才能」
など、ウケて満足したり、

 

もはや恋の皮をかぶったネタでしかありません。

 

それなのに少しは空気を読んだめろんジュース高校1年生。成長の色が見えますね。

 

「えーでも先輩って西高でしょ、どうやって聞くの?」とサヤカ。

 

「うん、お兄ちゃんが先輩と友達っていう子に、思い切って聞こうと思う」

 

「おー!いいじゃんがんばりなよ〜」とマユ。

 

こんな話で高校生らしく盛り上がっていました。※ちなみに先輩は彼女がいたらしくメアド交換も丁重に断られました。

 

そんな雑談はともかく、

バドはつらいばかり…。

 

ある日のことです。アツミが会話してくれそうな感じだったので、体育館までの渡り廊下で思い切って

「そういえばさ、先輩のメアドの話なんだけど」 

と私は持ちかけました。もう彼女いたみたい〜!まああの高校女子多いしそりゃいるよね〜wみたいな話をしようとしたのです。

 

するとアツミはものすごく不機嫌そうに

 

「あたし、その話、聞いてないんだけど?」

 

と睨んできたのです。

 

「あ、ごめん!!!」

私は慌てて謝りました。

 

「けど、なんか最近アツミ怒ってる気がして言いづらかったんだよね。ダブルスのペアなんだし、私がなんかしたなら言ってほしいんだけど」

 

するとアツミはあからさまにキレだしました。

 

「は?怒ってねーし」

 

「いや、怒ってんじゃん」

 

「は?怒ってねーわ。もういいわ」

 

ほんとは怒ってる彼氏のようなアツミは、そのまま私を置いて先に体育館へ行ってしまいました。

 

それ以来、練習中ミスをすると舌打ちをされたり、無視されたりするようになりました。

試合中、敵のファインプレーは「ナイスイン!」とか「ナイスショッ」とか、敵のミスにも「ドンマイドンマーイ!」などと、さもスポーツマンシップのお手本みたいな感じで言うアツミ。

 

本来、ダブルス中に敵のことはそんな褒めませんが、アツミはなんか「アタシは敵も全力で褒めていく。それがアタシ」みたいな雰囲気で周りを圧倒していました。

その一方、ペアの私のナイスプレーは徹底的に無視。コミュニケーションは「チッ」とか「ふざっけんなよ」みたいな超小声の罵声のみ。目を合わせてくれるのは一瞬の睨みつけだけ。

 

私に渡すシャトルはゴミとでも言いたげに、新入りいびりのゴミ清掃員のようにシャトルを投げてよこす…。

 

って、おーい!敵褒めの人格者と見せかけて、体育館のコートで新人いびりのゴミ清掃員を思わせるな!おーいみんなー!ここににせスポーツマンがいるんだよー!おーい!おーい…

 

明るくて、チャラ男のようなアツミ。ちょっと絡みに行ったら笑いをとって帰ってくる。

他の部員たちは私たちよりもおとなしかったのもあり、完全にアツミにハートを掌握されていました。

 

夏の終わりより前、セミが一番うるさい頃。

何があったのかアツミは陸上部の双子と別れました。にせスポーツマンだからかな。

そして次は「シンヤくん」とかいう知らない男子の話を、私以外の二人にだけし始めました。どうやら別の高校のようでした。

 

アツミは、

「あのプリクラ見る?」

みたいな感じで二人にいろいろ見せて、ああだこうだと盛り上がるのですが、

私が近づくと凄い勢いで隠すのです。プリ帳を。

 

そりゃもう、わざと中のわざとですよ。突然無表情になってプリ帳激しくカバンにつっこむって感じ。プリ帳、ってなつかしすぎるな。

 

…中学の時はヤカラも多かったけどみんなと仲良くやってたし、こんな意地悪してくる人いなかったので、私はすっかり疲弊してしまいました。

 

ただその他の二人、マユとサヤカの二人はアツミにのっかって私に意地悪したりしませんでした。

 

いい奴らなのは間違いないですが、そもそも彼女たちはアツミの意地悪に気付いていなかったらしいです。

 

アツミはそのくらい巧妙にやっていたし、私以外の二人にはあの感じのいいハスキーな笑い声とツッコミを絶やさなかったのも要因でしょう。

 

私も、アツミを信じ切っているし、私にも普通に接してくれるサヤカとマユに窮状を訴える気になれませんでした。

 

かわりに当時、クラスの子たちに「部活でいじめられる。つらい、もうやめたい。でもダブルスがあるからやめられない」とこぼしていたそうです。

 

私はそれを言ったことは2学期には既に覚えていませんでした。いじめられてるというのはさすがに大袈裟な気もしますが…。困っていたんでしょうね。

 

さて、毎日一緒に帰っていたサヤカに、思い切ってこれだけ切り出してみました。

 

「アツミさ、何か私のこと悪く言ってない?」

 

「いや、そんな言ってないけど、なんか最近怒ってるよね?ってアツミに聞いたっしょ?普通、本人に言うかぁー、って言ってたよ。だからなんか怒ってるっぽいけど、めろん心当たりないの?」

 

「えーなにそれ!でも、マジでない、あるとすればバドやめたがってることかな」

 

「まあそれはあるかもね。アツミがペアなんだし。やる気出せよ」

 

「うーん。そうだよね、うん。でも…」

 

サヤカは中学からやっていて一番上手かったので、弱いからつらいとかは恥ずかしくて言い出せませんでした。経験者のサヤカに相談してたらいいアドバイス貰えただろうけど、プライドとかも一応ありますしね…仲良いとなおさら…。

 

それにしても、本人に聞かないでサヤカに聞いてもわからないし、八方塞がりじゃないですか。

 

でも、まさかあのアツミが、のちにあんな風になっていくとはこのときは思いもしませんでした。

 

ーつづくー